拍手夢
□シクラメン
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「いよいよ明日なんだね。」
『はい。』
風紀委員としては異例の女子の委員。彼女は本当によく働いてくれた。
でもそれも今日でおしまい。
だって、彼女は明日転校してしまうのだから。
「君のおかげで、本当に仕事が楽だったよ。何か餞別に欲しい物ない?」
僕がそう言うと、彼女は少し考えた後、悲しそうな微笑みを浮かべながら口を開いた。
『欲しい物……受け取って“欲しい物”ならありますよ。』
「何か違う気がするけど、まぁそれでもいいよ。何?」
『……秘密です。明日は引っ越しで忙しくて学校に来られないので、もう今日でお別れです。今まで、ありがとうございました。雲雀さんと一緒にお仕事が出来て凄く嬉しかったです。さようなら。』
パタン…──
泣きそうな笑顔でそう言うと、彼女はそのまま応接室から出て行ってしまった。
家に帰ってからも、何故かその顔が頭からはなれなかった。
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