拍手夢
□杉
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*この話は「ひば」の続編となっております。
単独したお話としても読めますが、よろしければ先に「ひば」を読まれる事をおすすめ致します。
闘いから帰ってきた僕を見て、彼女は泣きそうになりながら、言った。
『恭弥さん!酷い怪我……。』
泣きそうだけど必死に泣くのをこらえている彼女を見て、ああ、生きて帰って良かったなって思った。
だってきっと、僕が死んでしまったら、彼女は泣くから。
「心配かけてごめんね。ちゃんと怪我の手当てもしたし、もう大丈夫だよ。」
僕は微笑んで彼女の頭を優しく撫でながらそう言ったけど、彼女は尚も凄く心配そうに訊ねてきた。
本当に大丈夫なんですか?無理していないですか?どこか痛いところはございませんか?
こんなに心配させてしまったんだという罪悪感と、こんなにも愛されているんだという幸福感が入り混じって、凄く不思議な気持ちになった。
僕はその質問一つ一つにしっかりと答えた。
「本当に大丈夫。無理してないし、痛いところもないよ。」
『良かった…恭弥さんが生きててくれて本当に良かった……。』
安心したからか、彼女の瞳からは、綺麗な涙が流れていた。
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