拍手夢
□ルピナス
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『あ、委員長見て下さい!ルピナス、ルピナス!』
二人で町内の見回りをしている時、いきなり彼女が小さな花壇を指さした。
こんなところに花壇なんてあったんだ。
「どれがルピナス?」
彼女はにこにこと微笑みながら、ある花を示した。
『え?これですよ?』
「ああ、昇藤(のぼりふじ)の事か?」
そういえばルピナスとも言ったっけ、とか思いながら僕が言うと、彼女はキョトンとしながら言った。
『へえ、昇藤ともいうんですか。知りませんでした。』
「というか君、花に詳しかったの?何か意外だな。」
『なっ!失礼ですね!私だって花の名前の一つや二つくらい普通に言えますよ!』
僕がからかうように言うと、彼女はむうっとむくれた。
そうやってすぐにムキになるところも可愛いんだよね。
自覚してないだろうけど。
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