拍手夢
□キキョウ
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僕は怖いものなんて何一つなかったんだよ。君に出逢うまでは…
君は、君がいつも応接室に持ってきてくれるキキョウの花のように涼やかな人だから、なかなか想いを表してくれない。
僕は思うんだ。
君より僕の方が好きって気持ちが大きいんじゃないか…いつか君は僕にあきてしまうんじゃないかって。
君が僕から離れて行く事…その事だけが、怖くてたまらないんだ。
「…いつもそう思ってたんだ。」
『ふふっ。』
想いのたけを全て彼女に言い尽くすと、彼女は小さく笑った。
彼女の笑顔を見られた事は嬉しいけど、今僕、笑われるような話してた?
「何笑ってるの?本気で話したのに…」
隠しきれなかった拗ねた声音で僕は言った。
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