拍手夢
□ゼラニウム
1ページ/5ページ
…なんか今日の応接室は変な匂いがする。
僕はこの少し不愉快な匂いの原因は何かと応接室を見回した。
すると、窓際に生けられたピンクと白のゼラニウムが目に入った。
風紀に花を飾るようなヤツいたかな?
あぁ、そういえば今年風紀に入ってきた女子がいたよね。あの子かな?
コツコツコツ
足音が聞こえる。
噂をすれば影。どうやら彼女が来たようだ。
コンコンッ
『委員長。書類整理が終わりました。入ってもよろしいでしょうか。』
「入りなよ。」
ガチャ
彼女はよく働く。
書類整理なら応接室でやればいいっていつも言ってるのに、何故か彼女はそうしない。
…きっと僕の事が嫌いなんだろう。
その事を考えると、いつも苛々する。
…何故だろう?
「この花を生けたのは、君?」
僕がそう聞くと、彼女は長い沈黙の後、私です。とだけ言った。
何で、花を飾ったのか、という質問にさえすんなりと答えてくれないのだろう。
他の風紀の奴らとはにこやかに話しているのに、僕にだけいつも素っ気ないし…あぁダメだ。やっぱり苛々する。
.