月下の影
□祈り
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「葉、今日はお月見よ」
「お〜満月なんか?」
「そんなことより、お団子とか、ススキとか用意できてるの!?」
「お、オイラが用意するんか!?」
「当たり前よ!! ほら、ちゃっちゃと用意しないと、夜になっちゃうわ!!」
アンナはアイスを齧っていた葉に喝を入れると、煎餅を食べ始めた。
葉はいそいそと外へ出ると、ススキが生えているであろう、川へと向かった。
「なんでオイラが…」
ちびっこが這いずり回っている川原からススキを二本摘む。
「あぁ、そういや、栗とかも供えるんだっけ?」
葉は近くに栗の木がある家がないかと見渡す。
「あ、あった!」
葉さん、それは犯罪というものです。
葉は、いてて、と言いながら栗を5、6個拾った。
穴が開いているものもあり、その家の犬にさんざんにほえられた。
「すまん!! 夜に間に合わなかったら、アンナになに言われるかわからんのよ!!」
犬に謝り、炎へと足を急いだ。
「おかえり。 材料は手に入ったの?」
「おぉ。 あとは、団子ぐらいでいいだろ?」
「……御酒は?」
「あ、アンナ飲むんか!?」
「おちょこ一杯ぐらい用意しなさいよ!!」
「おぉ……」
葉は再び出かけ、酒、白玉粉、黄粉を買った。
今からじゃ間に合うのか!?