OriginalNovels
□VAMP EATER
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ピチャリ、ピチャリ
暗く暗く、この世の全ての闇を内包したような空間に一つ、電灯の光が灯る。
そして、その明かりの下には―――
―――赤。
果てしなく紅い、赤色が広がっていた。
赤色の表明は波打っており、それが液体であることが判る。
赤色の液体は電灯に下がった、液体よりも更に紅い、赤黒い物体から滴り落ちている。
そして、そのすぐ傍、電灯の明かりの外、闇に包まれた空間に、うっすらと人影が佇んでいる。
人影は赤黒い物体と、そこから滴り落ちる紅い液体を眺めながら、ただただ佇んでいた。
どれくらい時間が経っただろうか、ふと人影が動きを見せた。
ゆっくりと、必要以上にゆっくりと、僅か三歩ほど先にある赤い空間へと足を進める。
そして、電灯の光の円、その渕の外に止まった。
まるで光を避けるようにして渕に立った人影はゆっくりとしゃがみ、そして―――
『ズズッ』
啜った。
足元に広がる、赤い液体を掬い上げ、啜った。
まるで愛しい恋人を愛でるように、忌ま忌ましい仇敵を呪うように。
笑いながら、怒りながら、哀しみながら、愉しみながら。
そして、笑う。
嬉しさを込めて、怒りを発し、哀しみに沈み、楽しそうにしながら。
高らかに、高らかに―――