夢&オリジナル小説

□いつでも一緒♪
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キーンコーン♪
先生:「よーし,本日の授業はここまで!」
担任の言葉で,一気に教室が騒がしくなった。
速水:「きっ,霧野君,今日は雨が酷いので,部活はナシだそうです…。」
蘭丸:「そっか,わかった。あれ?神童は?」
浜野:「さっき女子に呼ばれて音楽室行ったぞー。」
蘭丸:「女子に…?」
どうしようもなく気になって,音楽室に走った。
【音楽室】
ドアの隙間からそっと中を覗くと,神童の後ろ姿と隣のクラスの女子が見えた。
女子:「いきなり呼び出してゴメンね?」
拓人:「いや,別に構わないけど…。俺に話って?」
女子:「あのね…,私,神童君が好きなの。私と付き合ってくれないかな?」
蘭丸:「ーっ!!」
胸がズキズキと痛みだす。
拓人:「…。」
拓人が口を開くまでが,ずいぶんと長く感じられた。
拓人:「すまない。もう俺には,婚約者が居るんだ。」
女子:「そう…。仕方ないよね,神童君家お金持ちだもん。」
拓人:「ゴメン。」
女子:「ううん,いいよ。でも,友達になってはくれる?」
拓人:「あぁ,もちろ…」
ガタンッ!!
2人の会話を聞いて,俺は逃げ出した。
…否,逃げ出そうとした。
ガラッ!!
拓人:「きっ,霧野!?」
蘭丸:「ごっ,ゴメン!盗み聞きする気じゃなかったんだけど…。」
何だか惨めで涙が出てきた。
拓人:「きっ,霧野!?何泣いて…」
蘭丸:「〜っ!ゴメン!!」居たたまれなくなって,カバンも傘も何も持たずに雨がザアザア降っている外に飛び出した。
後ろから拓人が何か叫んでるけど,俺の耳には届かない。
バシャバシャと俺が走るのに合わせて大きく水が跳ねて,校舎裏の辺りを走っていた俺は足を滑らせてしまった。
蘭丸:「うわぁっ!!」
拓人:「ーっ!霧野!大丈夫か!?」
蘭丸:「あっ,あぁ…。」
全力で逃げていたが,思った程距離が開いてなかったらしい。
転んだ俺の真横に拓人が立っているのがその証拠だ。
拓人:「何やってるんだ,怪我でもしたら…。聞いてるのか?」
拓人の言葉が痛く感じる。
雨は激しくなる一方で,まるで俺の心みたいだと思った。
蘭丸:「…っ!」
拓人:「霧野…。」
ボロボロ泣く俺に慌てる神童。
これじゃあいつもと逆だな。
蘭丸:「…あのさ,」
拓人:「ん?」
蘭丸:「お前…,婚約者が居るって…。」
声が震える,嘘だって言って欲しい。
拓人:「あぁ,居るよ。」
サラリと答えられてまた涙が出てきた。
はやくこの場から逃げ出したい…!
拓人:「だって…,結婚してくれるんじゃなかったのか?」
蘭丸:「…は?」
拓人の言葉に思わず間抜けな声が出た。
蘭丸:「けっ…こん?」
拓人:「うん。」
蘭丸:「誰と…,誰が?」
拓人:「俺と霧野が…だろ///」
顔を赤らめる拓人が可愛いとか,そんな空気違いな事が頭をよぎったが今はそれ所じゃない。
蘭丸:「え…?えっ!?///」
拓人:「はぁ…ι」
蘭丸:「ーっ!」
拓人が優しく俺の頭を撫でてきた。
拓人:「俺,らんちゃん大好きだよ。」
幼い時の自分の口調を真似て,拓人がそう呟いた。
拓人:「約束…だろ?」
イタズラっぽく微笑む拓人の笑顔が眩しい。
蘭丸:「拓人!!」
拓人:「えっ!?///」
思わず拓人に飛び付いてしまって,2人して転んで泥だらけになってしまう。
でも,そんなのもう気にしてられない!
蘭丸:「拓人…!約束,忘れてなかったんだな…!!」
拓人:「当たり前だろ。すごく…,嬉しかったんだから…っ///」
蘭丸:「拓人可愛いっ!」
拓人:「ちょ!///」
しばらく2人で抱き合って,すっと身体を離した。
拓人:「今までは,幼なじみとして一緒に居たけど…,その…///」
蘭丸:「待った!」
拓人:「ーっ!?」
蘭丸:「その先は俺が言うよ。これからは,恋人として一緒に居よう。」
拓人:「…あぁ///」
チュッ…
拓人:「ーっ!///」
拓人の頬にキスをすると,リンゴみたいに真っ赤になった。
あんなに降っていた雨はいつの間にか止み,爽やかな青空に虹がかかっていた。
拓人をもう一度抱き締めつつ,これからもこいつとずっと一緒に居ようと誓ったのだった…。
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