夢&オリジナル小説

□Love Sickness
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【グラウンド】
神童:「今日は部員を2チームに分けて,練習試合を行う!背番号が偶数の選手は,青いゼッケンをつけてくれ。」
蘭丸:「…。」
神童がテキパキと指示を出している声が,どこか遠くに聞こえる。
蘭丸:(神童に…,好きな人が…。)
神童:「霧野…,霧野!」
蘭丸:「ーっ!わっ,悪いボーッとしてた。何?」
神童:「何って…。霧野,今日何かおかしくないか?」
蘭丸:「そっ,そんなことないって。いつも通りだよ。」
無理矢理笑顔を作ってそう答えると,神童は…。
神童:「そうか。なら早くグラウンドに入れよ,試合始まるぞ。」
蘭丸:「…あぁ。」
一瞬何か言いたげに口を開いた神童は,俺にそれだけ言ってグラウンドに入っていった。
俺も慌ててグラウンドに入ってポジションにつくと,すぐに試合が始まった。
蘭丸:「……。」
駄目だ…,いつもならグラウンドでボールを追いかけてれば自然と試合に集中出来るのに,今日は…。
試合中だって言うのに,俺の足はグラウンドの中央で止まってしまった。
速水:「浜野く…,うわぁっ!」
天馬:「ーっ!霧野先輩危ないっ!!」
蘭丸:「え?」
速水の情けない声と天馬の叫び声でハッと我に返る。
慌てて顔を上げると,俺に向かって速水が蹴り損なったボールが飛んでくるのが見えた。
神童:「霧野ーっ!」
ドンッ…!
葵:「キャァァァッ!」
俺を呼ぶ神童の声と,マネージャーの悲鳴を聞きながら俺の身体は崩れ落ちて。
倒れ込む俺の体を誰かが支えてくれたけど,その"誰か"が誰なのかを確認できないまま,俺は意識を手放した…。
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