夢&オリジナル小説

□風邪に効く薬は…
2ページ/5ページ

蘭丸:「はぁ…。」
朝練で神童が風邪をひいたと監督に聞いてから,俺の頭は神童の事で一杯だ。
授業中も気がつくと,斜め前にある神童の席を見てため息をついてしまう。
男子生徒:「霧野ー,ケータイ光ってんぞー。」
蘭丸:「あぁ,ホントだ。」
パチンとケータイを開くと,神童からさっき送ったメールの返信が来ていた。
俺が来るのを待っていると言う可愛いメッセージに思わず顔がほころぶ。
もうこの後の授業の事なんて眼中に無く,俺は早く時間が過ぎてほしいと思うだけだった。
〜放課後〜
メイド:「霧野様,いらっしゃいませ。お部屋で拓人様がお待ちですので,どうぞこちらへ。」
蘭丸:「はい,ありがとうございます。」
放課後,監督から頼まれた神童宛のプリントを手に神童邸にやって来た。
門をくぐって中に入るなりメイドに案内され,あっと言う間に神童の部屋の前にたどり着く。
トントンッ!
蘭丸:「神童,起きてるか?」
ドアに向かって声を掛ければ,少し間をあけて帰ってくる神童の掠れた声。
神童:「鍵は開いてるから,どうぞ。」
その言葉を聞いてから,ドアを開けて部屋の中に入る。
神童:「来てくれてありが…,ゲホゲホッ!」
蘭丸:「大丈夫か!?ほら,無理して起き上がらなくていいから…。」
体を起こした状態で咳き込む神童へと駆け寄って,優しく背中をさすってやった。
神童:「はぁ…。」
蘭丸:「落ち着いたか?」
神童:「あぁ,もう大丈夫だと思うけど…。」
蘭丸:「そっか。」
神童の背中に回していた腕を外そうとすると,俺の指に絡んでくる神童の細い指。
神童:「…///」
蘭丸:「…,もう少しこうしてようか。」
いつも頑張り屋な神童が自分から甘えてくるのは珍しい。
きっと体調が悪いからだな…。
蘭丸:「……可愛いな。」
手を繋いだまま俺に寄りかかってくる神童を見て,思わずそんな言葉が口から漏れる。
神童:「なっ!///」
そんな俺の言葉に真っ赤になってしまう神童に,何だか少し温かい気持ちになった。
いつもの神童なら可愛いなんて言ってしまった時点で照れて俺から逃げていってしまうんだけど,今日は顔を赤くしながらもしっかりと俺の手を握って擦り寄ってきてくれる。
そんな神童の姿がさみしがり屋な仔猫のように見えて,熱のせいで熱くなっている華奢な体をそっと腕の中に引き寄せた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ