異邦人大系 第三部

□Happy halloween chaos night? (Y)
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『───ぷすっ(笑)、親心でやすねぇ〜……』


『…喧しい。──んで。一体、どうなんですか?』



くつくつと笑う烈将と
飽く迄、真顔の祟場。





『あれはでやすねぇ〜。優人君が鳴神の元へと、仔犬を言い訳に足繁く、通いたがるものでやすから』


『ああ、それなら前からですよ。優人の奴、きっと想一君に向こうでの友人の面影を垣間見てるんでしょう。…コイツ、こっちへ来る直前に最も近親だった式神を二つも離して来ましたから……寂しいんじゃないですかね?』


『…成る程。そんなこんなな事情もあっての事でやしたか』


『あの式神達は優人にとって、親であり、子であり、兄弟であり、恋人であり、親友であり、何よりコイツの良き理解者で……コイツは、氷堂指揮のように過去の全てを覚えている訳ではありませんが。その式神達はコイツの何をそんなに気に入ってかは判りませんが、コイツが生まれ変わる度、探し回っては探し当ててずっとその傍らに寄り添って来た──。所謂、守護霊みたいなもんだったんですかね。…それ故なのか。コイツ自身はいつも一人になると、どうも危なっかしくて、危機感に欠けてて………』


『故の、あの無防備さ……納得が行きました。その式神だか守護霊達が彼から憑いて離れなかったのは、彼の血にも関係がありやしょう』


『……血、ですか? 血縁的な??』


『それもまぁ、あるやも知れやせんが…。祟場さんは人間です故、余り気になりますまいが…彼、優人君の血、血液には魔物を寄せ付けるソレがありやす』


『優人の先祖は、巫女と住職を流れに組んでいると聞きました』


『巫女、魔女……彼の血には、愁水やそれらにかなり近い物がありやす。その辺の魔物が放って置く訳がありますまい』


『………で、芝祈さん。貴方が優人をそのっ…襲って泣かせた、というのは…』


『ご安心を。只の忠告でやす。如何に自分自身が危険な立場に居るのかという、そういった意味での──』


『…はぁ〜。そうですよね、そんな事だろうと思いましたよ。全く、あの魔王と来たら人騒がせな』


『──しかし、まぁ。私めも魔物の端くれ。いつ、何処で、何が起こるやも判りやせんよ…?』


『…………………、』


『……ククッ、冗談でやすよ。冗〜談───』



祟場は僅かに背中へ
冷ややかな物を感じた。
口元だけで嗤いを湛える
烈将をやや恨めしげに
睨んでもみる。

時幻党。改めて考えてみれば
実に奇妙な共同生活だとも思う。

優人が元に戻ったら
この変人達からの
身の護り方を
一から叩き込まなければ。

祟場は、一つ深い
溜め息を零した──。




 
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