異邦人大系 第三部
□Happy halloween chaos night? (V)
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「──食らえ、ポンスカトルネード…!!」
──ガッシャーンッ
「…………、」
「冴島っ!」
「なーに、苧原?」
「今、祟場くんと大事な話してるんだから、少し静かにしててよ!!」
「え〜、別にいつも通りに過ごしてるだけだよー、僕?」
(……い、いつも通りなんだっ…)
冴島のハチャメチャ振りに
優人が恐れを成していた時だった。
ふと、ドアの隙間から優人は
何者かの視線を感じた。
「?」
そこに居たのは──。
(……猫?)
一匹の三毛猫。
何故、こんな所に…。
優人と目が合った瞬間
パッとその三毛猫は
廊下へ引き返した。
「……………」
祟場と苧原の話し合いは
どうやら、まだ折り合いが
ついてはいない。しかし、
苧原は冴島と何やら
揉めている様子で
優人はソッと部屋から
抜け出すと三毛猫を追った。
「…………、」
三毛猫は追って来た
優人の姿に驚き慌てて
隠れる場所を必死で探す。
やがて、ロビーへと出ると
一つの椅子の下へ潜り込んだ。
「──おいで、猫ちゃん。怖くないよ?」
優人は三毛猫の様子を窺いながら
ソッと椅子の下へと手を伸ばす。
──シャアッ!!
「…っ、」
三毛猫へ引っ掻かれ
思わず引っ込めた
優人の手へと血が滲む。
「……怯えてるの?」
『フゥーッ、フゥーッ…!!』
(迷い猫なのかな? それとも、天津の誰かが飼ってるとか…?)
「……………」
『シャーアッ!!』
それにしても、この怯えよう…。
何か誰かへ酷い目に
遭わされたのかも知れない。
飼い猫なら、飼い主へ
野良猫なら、取りあえずは
此処、天津の外へ。
先ずは保護しなくっちゃ…。
「………怖がらないで、」
優人はそう呟いてから
ジッと三毛猫を見つめた。
三毛猫は威嚇をしながらも
ブルブルと震えている。
(──縛!)
キッと優人の瞳が
三毛猫を捕らえる。
途端、ビクリと
三毛猫は固まった。
優人は素早く三毛猫を
椅子の下から引き摺り出すと
胸へと優しく抱いて
その頭を撫でてやる。
「ごめんね。吃驚した…? もう、大丈夫。安心して……」
ポンポンと宥めるよう
優しく優しく撫でてやると
やがて三毛猫は静かに威嚇を
解いて行った───その時だった。