異邦人大系 第三部
□Happy halloween chaos night? (Y)
2ページ/6ページ
『──ほら、水。もう、こうなったら何でもいいから飲んじまえ』
『あ。ありがとうございます』
真木に処方された
薬を飲む優人を
祟場は傍らで見守る。
日に日に増える薬の数に
反比例して、幼くなって行く
優人が祟場にはまるで
薬漬けになって行くようで
流石に居た堪れなくなる。
そんな師の様子へ気付いたのか
優人は大きなコップを両手に
ニッコリと笑って見せた。
『先生。俺なら平気です。だから、そんな顔、しないで下さい』
優人の言葉へ祟場はハッとする。
今の自分は一体どんな顔を
していたのだろうか───。
『──すまない、優人』
『いえ』
不安なのは、お前も一緒だろう…
いや。俺以上な筈なのに……お前は、
いつだってそうやって平気な顔で笑う。
呑気というのか、お気楽とでもいうのか…
本当、世間知らずで、危機感に欠けていて。
あちこち直ぐ首を突っ込みたがる癖して
肝心な部分が無頓着で、だらしなくて。
その上やたらと無配慮で、無自覚で、
軽率で、天然で、抜けていて………
そんなお前の一面を知れば知る程
どんどん心配にすらなって来る…
放って置けなくなって来る───。
『…………、』
それらは、確かにお前にとって
大きな欠点であり短所だが、
同時に紛れもなく魅力でもあり
また、長所でもあるんだろう──。
──ガタッ…
『先生…?』
俺はいつでも無力だが
お前が俺に寄り添う事で
自身の価値を見出したように
俺にも俺なりに誓った事がある。
お前やアイツらと誓った約束だって
今でも大事に心へ刻んでる。
その約束もまだ何一つとして
果たせてなんかいやしないのに、
そのお前が今、誰より率先して
消えてなんてくれるなよ?
だって、俺にとっては
お前はもう──…。