異邦人大系 第一部〜第二部
□決別、誓い、オルトロスの洗礼
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「―優人。此処がどうゆう所だか、判るか…?」
「天津総滅師協会。天津に所属する浄化師達の総本部……て、先生。その格好…本当によかったんですか? メチャクチャ浮いてますよ」
「ま、気にするない」
「……………」
明らかに浮いている白衣を翻しツカツカと廊下を行く長身の男と、その後ろを追う一人の少年。
「優人、お前は此処で待て。俺は上と話をつけてくる…と言っても、単なる挨拶だがな」
「…はい。でも、なるべく早く戻って来て下さいよ。こんな所に一人、置いてきぼりだなんて」
「……はははっ、俺が居なきゃ寂しいか? 心細いか? だんだんと可愛げが出て…」
――ドゴスッ★
「何でもいいですので、早くその用事とやらを済ませて来て下さい(キッパリ)」
優人から祟場への的確なツッコミ(蹴り)が入る。
優人は冷めた表情のままズレた眼鏡を指先で直すと、そっぽを向いた。
「―ああ、そうだ優人…」
「……はい?」
「此処(天津)へ来る前に、俺が話した事は覚えているな…?」
「はい。だから早く戻って頂きたいと…」
「………」
「―?」
「更に念を押して置く―。此処は奇人変人の宝庫だよ…本当にワンサカと居やがる。相当、ヤバイ奴も中にはな……。その事を忘れるな―」
「………、はい」
『――、な〜んか氷堂と火浦辺に似てるよね☆ あの二人…』
「そうか? アタシは灯群を思い出すよ。あ、こっち見た」
優人は駿河に対し、一つ頭を下げると近場の椅子を引き、腰掛けた。
「礼儀正しい子だな」
『そう? 俺の方はチラリとも見やしなかったよ。何かムカつくよね☆ 俺、ナメられてんのかな?』
「考え過ぎだろ」
駿河はお茶を啜った。
『てかアイツさ、俺の事、見えてんのかね〜。何か霊的要素、かなり薄い感じ☆ 俺、判るんだよね、その辺。今まで会った事ある奴等の中でも、群を抜いての最弱くんだね☆』
「…妙な事、考えるんじゃないぞ、範記」
『ちょっと遊んでやるだけだよ☆』
「……ったく」