異邦人大系 第三部
□不穏との遭遇
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氷堂第三指揮官が姿を消して
数週間が経過しようとしていた──。
「───優人、今日は先に帰ってろ」
「先生は?」
「ちょっくら野暮用──」
「分かりました」
「あ、優人」
「はい?」
「買い物だけ頼むわ」
「了解です」
「余り遅くならないようにするから」
「気にしないで下さい」
「…ん。悪いな」
「いえ」
そう軽く微笑んで
優人は天津を後にした。
消えた第三指揮官の事で
最近、祟場が忙しいのは
優人も百も承知だった──。
(俺にも何か先生の手伝いが出来たらいいのに───)
優人は鞄を肩に掛け、
夕焼けの街へと踏み出した。