異邦人大系 第三部
□不穏vs不穏
1ページ/5ページ
『只今、戻りました──』
優人がリビングに帰ると
優人の前に影がスッと遮る。
そこに立ち尽くす者が居て
優人は悲鳴を上げ掛けた。
だって、その影が余りに
普通じゃなかったから。
『…え? えぇ?』
誰だって驚くと思う。
プロレスラー並みの
屈強な肉体の大男。
しかも、まさかの
パンイチ姿に胸には
謎の星マークを従えて。
なのに頭だけは可愛らしい
プンスカだったのだから。
『な、何なんですかコレ…!?』
それには、プンスカ全般を愛する
流石の優人さえも若干、引いてしまった。
しかし、そんな優人の事を差し置いて
プンスカ男が自分の元へジリジリと
迫って来たりしたものだから───。
『ひ、ひぃいいいいっ!!?』
優人の絶叫がリビングに木霊した。
『真木。ほら、よく見ろ。優人が怯えてるじゃないか。貴様、何が目的だ。目障りだ。さっさとソイツを引っ込めろ』
『HAHAHA。ユートンに彼を是非、会わせて置きたくてね。姪にも彼だけは何故か不評だった──』
『当たり前だ』
『だ、だって。姪もユートンも喜ぶと思ったんだもの』
『貴様の感性はどうかしてる』
そこへ、キッチンにて
明日の朝食の仕込みをしていた
祟場も慌てた様子で駆け付けて来た。
『ジジイ、またやらかしやがったな!? トラウマになるから、それ以上、その変なのを優人に近付けるんじゃない!!』
『タタリン! またってなんだよ、またって。それじゃあ僕が丸で、しょっちゅうやらかしてるうっかりさんみたいじゃないか!!』
『アンタは、うっかり八兵衛そのものだ』
『Oh、デジャヴ!! 何だと、この青二才!!』
『有りの儘を言ったまでだろう!?』
『ムキィーッ!!』
『全く、人が感傷に浸ってた所をぶち壊しやがって…』
『え、何? タタリン、センチメンタルなの?』
『……五月蠅い』
『センセ…?』
そこへ、プンスカ男に
胴上げされ掛けていた優人が
どうにか逃れて祟場の元へとやって来た。