異邦人大系 第三部
□修行、ラウンド1
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烈将が優人へ修行を
つけてくれる事となった。
一日目、時幻党内某所──。
『────優人君。どうかそのままで』
『え?』
『所望は、結界の強化だった筈。まだ、傷の方も完全には癒えておらんでしょうに。私めが攻撃を仕掛けて差し上げるでやすから、取り敢えずはそこで只、結界を張る事だけに努めてみて下さいな』
『は、はい』
『……行くでやすよ?』
──ゴッ!!
言葉通り、烈将の真空刃が
勢い良く吹き抜けた。
それを結界を張り、拒む。
──ガガガッ!!
『まあ、初めはこんなもんでしょう。ではこれから、どんどん力を強めて行くでやす。一体、何処まで今の君の結界が耐えられるかどうか。気を抜かれませぬよう───』
『はい』
更に言葉通り、烈将の霊気が
どんどん上昇して行った。
吹き付ける真空刃も
みるみる威力を増して行く。
──ガガッ、ビシッ!、ミシミシッ!!…
結界が早くも軋みを上げ始めた。
その威力に耐えられなくなって行く。
──パキィ…ンッ!!!
『弱い。弱いでやすよ、優人君。これでは君が守りたいものも守れない──』
『はい…』
『──まだでやす。君の結界、確か前はもう少しばかし強かったようにも記憶しておりやすが?』
いきなり容易くも結界を破られ
顔を曇らせた優人に対し、構わず
烈将は小首を傾げたくらいにして
煽るように、その先を促した。
烈将の言う“前”というのは、
恐らく鬼狩りの時を示す───。
『さぁさ、落ち込んでる暇はないでやすよ?』
『もう一度、お願いします』
『そう来なくては──』