異邦人大系 第三部

□やがて鍵へと変わる者
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『───ニュートン! 大丈夫か、ニュートン!! 死ぬなぁあああっ!!!』



優人が烈将に担がれ戻った直後、
時幻党敷地内に真木の咆哮が木霊した。





『ミスター、煩いでやす』



烈将は前髪で隠れたその顔を
どうやら顰めている様子だった。





『叔父。ニュートン、息してますよ? 意識の方もちゃんとあるみたいですし』


『え? 本当かい? 何だ、僕の早とちりか。参ったぬん。こいつぁ、うっかりだ!』



それに優人も烈将から
降り立ち、苦笑を零した。





『真木さん、すみません。驚かしちゃいまして。僕なら平気です』


『そうかい? なら、いいんだが…。まだ君、病み上がりなんだから無茶しちゃ駄目だよ?』


『はい。ご心配、ありがとうございます。気を付けます』



優人は真木と黒衣に対して
微笑んで見せた──。








『──もう、烈将さんったら。さっき、俺の事、ダシに使ったでしょう』


『はて? 何の話でやすか?』


『………。まぁ、別に。結果的にお二人の喧嘩の仲裁になれたので、これ以上、文句は言いませんが…』



優人は一つ溜め息を吐いた。





『いやはや。しかし、とんだ魔王様の襲来でやしたね…』


『あの! 烈将さん! 俺、まだっ…!!』


『優人君。残念でやすが。本日の修行は、これにて終了でやす。私めにも、やらねばならない事があります故』


『……やらなければならない事? 烈将さんのやらなければならない事って、一体…』


『気になりやすかい?』



優人は暫し烈将を
見つめた後に、
コクリと頷いた。








『…では、優人君。少々、お手伝いの方、お願い出来やすかね──』


『……え?』



笑いを含んだ思い掛けない
烈将の言葉へ、優人は瞬いた───。




 
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