MONOCHROME 〜白と黒の書〜
□〈白〉の書 『彼の唄、温もりに懐古的“熱”を宿して〔壱〕』
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……Let's sing.
In the dazzling sunshine.
(………眩い光の中で、唄おう)
This place is a paradise for me──…
(此処は、私にとっての楽園だ───……)
「────随分と、ご無沙汰ね。」
『近くまで来たから寄ったんだ……』
「そんな。他人行儀に────此処は、アナタの家でもあるのよ? こんな年老いた女房をほったらかしにするなんて。いつ、お迎えが来てもおかしくなくってよ?」
『……………そう、拗ねるな。悪かったよ───、』
「今度、会う時…は。この世を離れて冷たい土の下……なんて。私、嫌よ──?」
『…イザベラ──、』
──バサッ……
「…!」
『……機嫌、直してくれよ。頼むから』
「─────狡い人…、」
背後から、顔の直ぐ横へ
ぶっきらぼうにも
突きつけられた黄色の花束。
イザベラは、目尻に皺をつくって
笑みを零すと花束を抱えて立ち上がり
自身の背後へと立ち尽くした
“白い男”を振り仰いだ───。
「お茶くらい出すわ。上がっていって。……断ったりなんかしないわよね?」
『────うーん…、ああ〜………』
「バーバラなら、居ないわよ。街に今、買い出しに出掛けてるの」
『──そうか、…なら。』
「あんまり帰って来ないものだから、もう少しで捜索願いでも出そうかとも思っていた所よ? あんまり出歩いてばっかいる内に、遂には我が家の場所すら判らなくなっちゃったのかと思ってね?」
『んな、そこまで老いぼれちゃいねぇーよ』
「これ…、何て名前の花かしら? いい匂い───」
『……知り合いに貰った。お前に、って』
「──まあ。なら、お礼のお手紙でも出さなくっちゃね…」
……………………
……………