電霊‐LOGICAL PARADOX‐ (仮)
□マスター、事件です
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#000『マスター、事件です』
『大変だ!!』
『どうした、真木!?』
『携帯が停まる……』
『…………』
『困ったなぁ。これじゃあツイッターが出来ないよ』
『………料金を払えばよかろう』
『お金がないの』
『………』
『愁水くん、お金頂戴』
『貸せと言うならまだしも、頂戴だと?!』
『ただでとは言わないよ。僕のおヒゲ、片方あげるから』
『いらんわ!!』
――――――――ベシッ
『ぎゃうっ』
『ああ!! 僕のレフトおひげが、ぷんすかの鼻に!!』
『何の意味があるんだ、そのヒゲに』
『威厳を保つ為の大事なアクセサリーさ!!』
『馬鹿っぽいぞ』
『愁水くん』
『何だ』
『ヒゲの無い僕は、ただの陽気なオッサンさ……』
『ヒゲがあっても無くても、ただの陽気なオッサンじゃないか』
『おヒゲがアシンメトリーになってしまったが……これはこれで斬新だな』
『ライトも外せばシンメトリーになるぞ。外してやろうか?』
『愁水くんはツイッターとかしないの?』
『お前の話は、いきなり跳ぶな』
『姪も僕もやってるよ』
『そもそも。ツイッターとは何だ』
『え』
『たまに耳にするがいまいち実情が判らない。つまり何だ?』
『え、えー、何だって聞かれると判らないけど……何だろ………好きな時に好きな事呟くの』
『呟く? 独り言か?』
『いや、独り言っちゃ独り言だけど……[寒いなう]とか[腹減ったなう]とか』
『語尾に[なう]と付けて独り言を呟くのか?』
『いや、それはみんなに見られてるんだけど……』
『………? 公衆の面前で語尾に[なう]と付けながら独り言を話す? 妙なものだな』
『え、いや、凡そ合ってるんだけど愁水くんの頭の中にあるものとは違う気がする……』
『お前だけなら、ただのボケオヤジだが、まさか、あの黒衣までもがやっているとは』
『愁水くん、今度タタリンに教えて貰いなよ。僕、説明するの苦手だからさ』
『そうだな、誠人なら、より的確に説明してくれそうだ』
『ところで、愁水くん』
『何だ?』
『お金……』
――――――――ガンッ
『出直せ、愚か者』