電霊‐LOGICAL PARADOX‐ (仮)

□元凶
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#000『元凶3』







運命が皮肉なのか
私の生き方が罪なのか。




『おや。愁水』



『白…羅? 何をしてるんだ、お前…』



『お久しぶりです。何百年ぶりだろう。相変わらずのようで。…嬉しいですよ、愁水』



『何をしてるんだと、聞いてる』



『連れませんね。貴女こそ、何をしてるんです? こんな物騒な場所で』



『………異変を感じたんだ。何かが、この世界の時の流れを邪魔してる』



『ほう。何かとは?』



『電子の集合体。この島だと思っていたが違ったようだな』



『と、言うと?』



『お前、この世界で何をした?』



『……何って』



『お前の周りに高圧的な歪みが生じてる。言い逃れ出来ないレベルの不穏だ。返答によっては、お前を、害なす異物として見なすぞ、白羅』



『冷たい人だな。まあ、思い当たる事と言えばそうですね……河野慎真に悪知恵を与えて、氷堂秋人を悪に仕立てて。在るべき未来を書き換えた、ぐらいですかね』



『………、何?』



『あと。河野伊織を殺しました。邪魔だったので』



『…………』



『ヒロインの不在。その方が物語っぽくて素敵でしょう? 演出なら悲劇的な方が盛り上がりますから』



『お前。それは、本気で言ってるのか?』



『嘘をついてどうするんです?』



『何故、情勢に関与している』



『この世こそは腐敗の根源、根絶やしにすべく私が存在する。憎悪、嫌悪、全て総じて私を辿る。悲劇を呼び出す者。悪意。それが私の見つけた答えです、愁水』



『……堕ちたな、白羅。失望したよ。お前、心が見る影も無く荒んでるんだ。私は、優しくないから。今この瞬間からお前を敵と見なし、この世界から排除する』



『愁水。貴女じゃ私に勝てません』





私は駿河愁水。悪意の母親にして
世界の軌道を守る者。
あらゆる不穏を排除して
道を正す為の存在。
私は、信じてる。例え悲劇の
全てを救えないとしても
世界が悲しみと平等に、また
喜びを与えてくれる事を。




『ひよっこが、生意気に』



『愁水』



『……………』



『覚えてますか? あの言葉』



『…………』



『私は貴女を愛してます。永遠に』




『笑わせるな』





だから、こんな腐れた世界でも
守るに値する意味があるんだと。







 


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