電霊‐LOGICAL PARADOX‐ (仮)
□破壊と支配
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#000『破壊と支配』
神に誓うと、潔白だ。
あるがままに己を生き
真っ当な道を往く。
お前達とは違うのさ。
歪み腐った同胞共よ。
『愁水さん。久しぶりだなあ。元気してた? 紅茶か何か無い? 喉乾いて死にそうなんだけど』
『イノセ…!?』
『そー。僕です。まだ忘れられてなかったみたいで安心したよ。つうか相変わらず何にもないねー、ここは』
『何しに来た…貴様』
『喉が乾いたから、立ち寄っただけ。けどまたすぐ行かなきゃならねえ。何か飲み物ちょーだい。アルコールと炭酸以外で』
『―――おや、イノセさんじゃあないですか。懐かしい』
『ん? 誰だ? ちょっと見ない間にメンツが変わったか? 初めまして?……えーと、あ、違う。変わってねえや。前からいたな、お前。なんだっけ』
『相変わらず失礼な人ですねぇ。芝祈烈将でやす』
『ああ、そうだ、あれだ、有害生物。なり損ないの失敗作。愁水さんの黒歴史。何だ、まだ生きてたのか』
『ええ。まだやることがあります故にね』
『愁水さんはお人好しだな。いつまでこんなものをのさばらせておくんだ? ガラクタ集めてどうすんのさ。駄作に価値無し。お部屋のインテリアにもならない。俺なら人目に付かず焼却するけどね』
『口を慎め、イノセント。彼は私の友だ。侮辱は許さない』
『侮辱? 所詮はゲテ食いか、君も』
『イノセさん。昔から口の減らないアナタですから。私めもね。次にその面を拝んだ時は、即刻ぶち殺してやろうかと思っていたワケでやす』
『烈将…やめなさい』
『酷いな。僕のマイホーム。やっぱり居心地悪いや。余計なもんが増えすぎて、地獄にも等しい。僕はシンプルなのがいい。人も物も必要最低限でいいじゃないか』
『イノセ。お前、今度は何をやらかした?』
『やらかした、なんて言わないでくださいよ。僕はアレとは違うんで』
『アレ?』
『白羅。アレは月日が経つに連れて手に負えない障害物になって行く。万物共通の敵であって一理もない存在だ』
『……それで?』
『だから、何処に行こうが立ち向かうモノがいる。生物ってのは賢い。誰が調整するワケでもなく己の敵を肌で認識する。よって……僕はアレを消そうと思います』
『……イノセ、貴様』
俺はイノセント。意味は潔白。
善でもねえ。悪でもねえ。
ただ真っ当に生き告ぐ者。