電霊‐LOGICAL PARADOX‐ (仮)
□白と混沌
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#000『白と混沌』
『真木…祀……』
『そう。真木。それがアナタの敵です。御子柴敬士』
『おれ、おれのてき、まき』
『そう。覚えなさい。アナタの存在意義は彼を葬る事。わざわざ電子の海から解放してあげたんです。私の為に働きなさい。アナタは他人を腐らせると言う素晴らしい能力を持っている。言わば負の媒体だ。真木マツリはアナタの真逆にいる。奴は、そこから抜け出してしまった。つまりアナタにとっての天敵だ』
『まき、まきを、けす、まきを』
『そう。消しなさい。邪魔なもの、気に入らないもの何もかも全て消し去りなさい。アナタにはそれが許されるのです』
『けす、けせば、いいのか、けせば、おれは』
『そう。今のアナタは御子柴敬士。腐食の王。天敵である真木を消し去る為に存在し、戦う異分子です』
『ふしょく、の』
『そう務めなさい。アナタの主は私です。アナタに生きる意味を与え自由を与えた。私に報いる為に働きなさい。その天命を全うできたなら、いずれ“アナタ自身”の願いも叶えて差し上げますよ』
『…………みこしば。おれは、みこしば』
『手始めとして、アナタにこの世界を差し上げます。零世界。通称EMPTY.と呼ばれる煉獄です。苦痛の果てに人を浄化します』
『れ、れんごく、』
『ですが。アナタの好きにして構いません。私はここのシステムが大嫌いですから。腐らせるのは得意でしょう?』
『わ…わか、…わかった』
『あと…その姿は流石にエグいのでね、何か被り物でもしておきなさい。若干滑稽ですが、その生皮剥いだ様な姿で視界にチョロチョロ入られるよりは幾分マシですから』
『わ、わか、った』
『あぁ、それと最後に。地下に死に損ないがいます。お暇でしたら遊び道具にどうぞ。多分暫く起きませんけど』
『死に損ない?』
『とは言え、かつての王様ですから。注意を払ってくださいね。彼もまたアナタとよく似た存在ですから』
『わか、わかった』
『では。私はこれで。後の全てはアナタに委ねます。暫く会う事もないでしょうけど、お元気で。此処が腐り果てた頃に見に来ますよ』
『ば、く、ばくら』
『はい、何でしょう?』
『じ、じゆうにしてくれて』
『?』
『あ、あり、ありがとう』
『……』
『かんしゃ、する』
『………、どういたしまして』