電霊‐LOGICAL PARADOX‐ (仮)
□変わり者がお好き
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#000『変わり者がお好き』
『お久しぶりです、先生』
『本当に久しぶりだなあ、誠。何年ぶりだろう。最後に会った時よりだいぶ老けたんじゃないか?』
『まあ、俺だって年ぐらい取りますけど。半分はストレスですかね。色々と心配事が多くて』
『優人はいないのか?』
『今はまだ。軌道を外れるとなると、今のアイツの身体じゃ負担が大き過ぎる』
『そうか。少し残念だ。彼とは直に会ってみたかったのだかな』
『女史もそう言ってましたよ』
『あぁ、桐己は私とよく似てるからな。変わり者が好きなのさ』
『ところで、先生。みんなはどうしてるんですか?』
『相変わらずさ。真木はフラフラしてるし、黒衣は本を執筆している。烈将は、そちらの世界で暗躍してるだろう。変化があったのはイノセぐらいか。封印を解かれて館内をうろちょろしてる』
『封印を解かれた? 誰に?』
『さあな。知らんよ。アイツ、口を割らないんだ。だが、相変わらずのエゴイストでな。何というか…』
『嫌な奴だって?』
『『うわっ!!!!』』
『ちょっと、ビビり過ぎですよ、お二人さん』
『お前、背後から忍び寄って人の話に割って入るの止めろ。薄気味悪い』
『あはは。君、祟場君ですね。写真で見ましたよ。駿河家の末弟ですよね? 俺はイノセント。煉獄の支配者。よろしく』
『あぁ…よろしくお願いします』
『何か君あれですね、白羅に似てる。インテリ眼鏡具合が。あと何か猫臭い』
『猫? 飼ってませんが』
『俺、猫嫌いなんですよ。猫ってねぇ、ある国じゃ冥府の番人で。あいつらの眼が光るのは、死者を見張ってるからって言うんです。うざくないですか? 見張りだなんて』
『…………、』
『誠に絡むな。大体お前は香水臭いぞ、イノセ』
『やだなあ。身嗜みですよ。血の匂いよりマシでしょう?』
『私はどっちも嫌だから出てけ』
『酷い人です。家族団欒に加われば邪魔者扱い。どっちが嫌な奴だか判りませんね』
『喧しい。いいから出てけ』
『とまあ、家主がご立腹なんで俺はもう出掛けますが。祟場君、どうやら君の飼い猫は普通じゃないみたいですね。過視しようとすると何故かぼやけてよく見えないんです。面白いじゃないですか。今度じっくり見せて頂きたいですね』
『…………成る程。それならお断りします』