異邦人大系 読み切り版

□バレンタインとか超あれな日《読み切り版》
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#バレンタインとか超あれな日《読み切り版》








2月14日。国津退魔師協会、食堂にて。





『想ちゃん、何で私のチョコレート受け取ってくれないのよ!』



『お前の手作りチョコは悪意に満ちてるから嫌だ!』



『悪意って何よ! ちょっとした、サプライズじゃない!』



『“ちょっとしたサプライズ”でカラシだのワサビだの入れられたら堪ったもんじゃねえ!』



『今回は、ワサビとかカラシとか入れてないもん! 去年、一昨年と想ちゃん苦しんでたから今回は辛いのなるべく控えたのに・・・・』



『じゃあ、何入ってんだよ』



『当たりは、オレンジピールとかキャラメルソースかな? 美味しいよ?』



『ハズレは?』



『土佐酢ゼリーとか、擦り下ろしショウガとか・・・』



『お前が食えよ、バカ!』



『想ちゃんの為に作ったのに! 酷い!』



『酷いのはどっちだ!! 俺を何だと思ってる!?』



『大事な人!』



『大事な人に何で嫌がらせすんだよ!』



『好きな人程、苛めたくなる複雑な女心よ!』



『もう、何処から突っ込めばいいのか判んねえよ、お前!』








『あー、お前ら。うるせぇ。キーキー喚くな…。癇に障る───』



『霧島、丁度いい所に! 鈴萌を黙らせろ!』



『霧島君、想ちゃんが酷いのよ! 私の愛を全否定するの!』



『…そうか。痴話喧嘩なら外でやれ。俺は今、機嫌が悪い──』



『あれ。何か顔色悪いね。どうしたの?』



『単独任務明けだ。疲れた……』



『へえ、お疲れ様だね。じゃあ、仕方ない。霧島君にコレ、あげるよ』



『要らねぇよ。───どうせ、お前の手作り悪意だろ? 毎年毎年、飽きずによくやるよな。ああ、ゴミ箱にでも食わせてやればいいんじゃねぇか?』





『───酷いっ! 霧島君、酷いわ! 幾ら何でも言い過ぎよ! 私、哀しい…! バレンタインだからって張り切って、手作りチョコレート作ったのに……。寄って集って二人の男の子に受け取り拒否されるなんて、哀しいわ。──悲しすぎる・・・っ!!』



『コンビニで買って来いよ。そしたら、受け取ってやる』



『右に同じく──、』





『だったら! だったら、いいわよっ! アンタ達になんか、もう、二度とあげないからね───!?』



『そうして貰えると、ありがたい』







 
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