異邦人大系 読み切り版
□ホワイトデーとか超あれな日《読み切り版》
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#ホワイトデーとか超あれな日《読み切り版》
『───ねえ、想ちゃん』
『何だよ?』
『今日って、ホワイトデーだよね?』
『だな。』
『何で、私には誰も何もくれないのよー!!』
『いや。お前・・・あんな危険物ばら撒いといて、バレンタインやり遂げた気になってんじゃねえよ! お前のあれは、只の嫌がらせだ! 誰がお礼なんかするか! 寧ろ、嫌がらせに嫌がらせで返されないだけ有り難いと思え!』
『酷い! 想ちゃん、酷い! どうして、そんな酷い事言うの? 私、一生懸命作ったのに・・・皆、喜んでくれると思って一生懸命作ったのに、あんまりだわ・・・!』
『嘘吐け! お前、単に俺達がハズレ食って悶え苦しむ様が見たかっただけだろうが!』
『そんな事ないもーん。私、そんな意地悪じゃないもーん』
『・・・そんな事あるだろ。何だ、その顔。白々しい』
『ふーんだ。いいもんね! もう、想ちゃんには期待しない! 霧島くんにせびるからいいもんね!』
『せびるって。もう、バレンタインのお返しとか関係なくなってんじゃん!!』
『・・・・あー。想一、うるせえ。でかい声、出すな。癇に障る。俺は今、機嫌が悪いんだ』
『あ。霧島、丁度良い所に。聞いてくれよ。鈴萌のバカがさあ・・・』
『何だ、この光景。デジャブを感じるぞ』
『霧島くん』
『何だよ』
『何か、頂戴? ホワイトデー!』
『は? 知るか、ボケ。何が、ホワイトデーだ。てめえ。どの面、下げてホワイトデーとか言ってんだ? バレンタインに自分で何バラ撒いたか、よく考えてから言え。タコ──、』
『何って、チョコだよ? ハートフルな手作りチョコレイト。愛情たっぷり!』
『何か。その、“悪意はありません”みたいな顔してほざいてんのがまた、ムカつくな。間違ってもお前にはやらねえから、安心しろ』
『はあ・・・。何だか、霧島くんも見込めそうにないね…。もう、いいや──。皆して私のバレンタイン、バカにしてさ。いいもん。そんなに否定するなら、もう二度と、あげないからね!』
『だから。受け取って欲しかったら、来年からはコンビニで買って来いって。そしたら黙って貰ってやるし、ホワイトデーも返してやる』
『同感』
『・・・は? 何よ。コンビニ、コンビニって。手作りより、コンビニなの? 私の愛より、機械が作った冷たいチョコレートが良かったって言うの? 何よそれ。私、あれ作るのに半日掛かったのに・・・もうやだ、知らないっ! アンタ達になんて、ホントに二度とあげないからっ!!!』
『ちょ、鈴萌。お前・・・』
『バカバカバカバカバカ! 想ちゃんも霧島くんも、地獄に落ちちゃえー!!』
『ちょ、待て、鈴萌! お前、何泣いてんだよ! おい!!』
『・・・・・』
『行っちまったよ・・・足、早過ぎんだよ・・・あいつ、ガチ泣きしてたぞ。あれ──』
『──いや、つうかよ。』
『確かに。少し言い過ぎたかな・・・アイツ、作ったものは本当に酷いけど。時間掛けて一生懸命作ってくれたんだよな。俺達の為に・・・』
『そもそも。愛情だ、手作りだ、ってほざいてやがるが。アイツ、“男”だからな───』
『────、』
『女装癖の男が勝手に変なチョコ作って、手当たり次第にばら撒いて──。ホワイトデーだから何か、礼、寄越せって、ほざいてんだからな…?』
『あ・・・・やっぱ、ムカつくわ─────』