異邦人大系 読み切り版

□ホワイトデーとか超あれな日《読み切り版》
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国津退魔師協会、医務室──。





『………っ、ん? 此処は…』


『ああ。気が付きましたか、陣内君』


『…あっ。確か……え〜っと、……………………相沢…井上……上田?? 違う…』


『──平沢です(汗)。…どんどん遠ざかっていってるじゃないか………』


『ああっ!、平沢先生! ……し、失礼しました。あははっ』


『随分とまた、気持ち良さそうに気絶してましたね』


『…えっ?』


『全く…、君が羨ましいですよ。(───知らぬが仏とは正しくこの事だ……)』


『?、?』


『どんな幸せな夢を見てたんです?』


『……えっとぉ、内緒です///』


『────、(ニッコリしているけれど何故か、イラァッ…)』


(──こんの、リア充め! 事実教えて地獄へ突き落としてやろうか…!!) ←裏平沢


──ゴゴゴゴゴゴ…


『…………ふぅ、全く──。(プリプリ)』 ←結局イイ人


『何か、怒ってます…?』


『いえ。それより、その手、どうしました?』


『──あはっ。ちょっと昨日、慣れない事したもので。…実は、ホワイトデーのお返しにクッキーを手作りしようとしたんですけど、焼き加減がイマイチ分からなくて。ほぼ、全滅でした……。(苦笑)』


『じゃあ、その手は火傷ですか。で、渡せたんですか?』


『………市販の物と混ぜてコッソリ一緒に…』


『言わなかったんですか』


『言い出せなかったんです。いざ、その場に立ってみたら重いんじゃないか、気持ち悪いんじゃないかって頭ん中グルングルンしちゃって…』


『……………』


『黙って渡した方が返って重たくて、気味悪かったですよね。馬鹿だなぁ、俺。今更だけど、どうしよう──…(ズゥーンッ)』


──カタンッ… (肩を) ガシィッ!!


『…へ?』


『────終わった事をウジウジ悩むな。初めから悔やむくらいなら、何もしない方がマシだろう?』


『………で、ですよねっ』


『男なら、当たって砕けろ!』


『!』


『そのクッキーとやらは、美味く出来たのかい?』


『は、はい。一応、自信作ですけどっ…』


『なら、大丈夫だと思うよ。きっと』


『──平沢先生、』


『うんうん』


(何か健気で甘酸っぱくて、青春だなぁ〜…)


『応援するよっ!』


『…いや、そんなんじゃ。その、せっかく手作りチョコを貰ったから、それに見合うお返しがしたかっただけで、あのぉ〜……』


『ああ、もうっ! 煮え切らない奴だな、君はっ!! さっさとぶつかって玉砕されて来い──!!』


『えぇ〜っ?? それって、玉砕、前提って事ですかぁ!? (失笑)』


『(グッジョブ!)』


『──ははっ…、何か笑ったら元気、出て来ました。ありがとうございました、平沢先生っ!』


『うん!』


『お世話になりました。失礼しました』


──パタンッ…


『………ハァ〜ッ、』


(自分も桐己さんに何か渡そうかな…)















翌日、天津霊滅師協会食堂──。





『あ、鈴萌さんっ! 良かった、見つけた!』


『じ、陣内君っ…』 ←中華丼大盛りチャレンジ中


『……あのっ、昨日、俺が渡したお返しの事なんだけど…』


『うん? ああ、あれか。あれならもう食べちゃったよ?』


『…!、そ、そう』


『どうかした?』


『ううん。何でも、ない…』


『陣内君』


『?、はい』


『あれ。クッキーだけ、手作りでしょ?』


『!、どうして、それ…』


『お砂糖、入り過ぎ。よく焦げなかったね』


『(カァアアア)』 ←いっぱい焦がした


『──私、嬉しくなって想ちゃん達に見せびらかしちゃった。クッキーも一枚ずつ上げたけど、二人共、美味しいって言ってたよ?』


『(何かプシュ〜ッ)』


『あれ? いけなかった??』


『ううん。昨日、言いそびれちゃったから。その事だけ、伝えときたくて……。それと、受け取ってくれてありがとう────、』


『うんっ!(ニコッ)』


『………っ///(キュウウウッ)』








オマケ──。





『───平井先生、何だか胸が苦しいです…』


『平沢だ。』






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