異邦人大系 読み切り版
□(*´ー`)Happy birthday
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#000(*´ー`)Happy birthday
寒空から舞い散る白に
今は、只々、平穏を───。
ある年の元旦。
天津総滅師協会の
そのロビーにて……
『───ほら火捕辺、お前も手伝えっての。桐己が来ちまう』
『……氷堂さん、流石にコレは無理があるのでは』
『無理? HAHAHA、何を言っているのかね、火捕辺補佐官。俺の辞書に不可能の文字は無いのだよ』
『……、恐らくそのアンタの辞書とやらには常識という言葉も載ってないんでしょうね』
『常識? 常識っつったらば、俺のする事は全てが常識になるのさ。俺は歩く何とやらだからね』
『何とやら、とは何なんですかソレは…』
『いいから手伝えって! ほら、そこ。側面が空いてるぞ?』
『…………』
『一体、何の騒ぎだ? 氷堂、火捕辺…』
『『!?』』
『ハッピーニューイヤ〜☆』
『あ。駿河に、瀬戸。明けましておめでとうございます』
『ああ。コチラこそだ、火捕辺。明けましておめでとう。──で、そこのバカは何をしているんだ? さっきから』
『きっ、桐己!! よくぞ気付いてくれたっ!! よーし、待ってろ!! もう少しで終わるから!!!!』
『氷堂さんですね。今年こそ駿河の実年齢の数、ローソクをバースデーケーキに挿して駿河を祝おうと、相当な前から意気込んでたんですよ』
『────じっ、じじじ実年齢だと…!? 範記ィ!! あのバカを早く止めさせろ!! 冗談じゃないぞ、そんなモンっ?!!』
『え〜。でも、コレには俺も一応、荷担しちゃってるんだよねぇ〜☆』
『範記?! 何でお前まで氷堂の奴の肩を持つような真似を…??』
『落ち着いてください、駿河。一応、祝い事ですからね。悪気は全く無いんですよ、氷堂さん』
『それにな!? これ程の数のローソクを集めるのに一体どれだけのケーキ屋を回った事か──!!』
『この人。いつもの事ですけど、僕に始末書の山を押し付けて出歩いてたんですよ。───流石に年末までコレではと、僕もブチキレ掛けたんですが、理由が不純ではなかったので許したんです』
『火捕辺…、お前。相変わらず寛大だな────』
『──よぉっし!! 準備オーケー!! 火捕辺、火を貸せっ!!!』
『ば、バカっ…!! そんな、お前の頭みたいなウニケーキに火なんかつけたらっ……!!?』
──ゴォオオッ!!!!!
『うっわぁ〜、凄い火力だね☆』
『──さあっ、桐己! 思いっ切り吹き消せっ!!』
『出来る訳がないだろっ?!!! こんな火柱をっっ!!!!!!』
『…ああ。早速スプリンクラー、作動し始めましたね』
『「…ああ、」なんて言ってる場合か!! 何で周りは作動してるのに、肝心のこの真上が作動しないんだっ??!』
『あはは。だから、ソレはね? 俺が前もってぶっ壊して置いたから☆』
『範記っっ?!!!』
『前に三分の一で予行した時も、スプリンクラーに降られちゃってねー。当然、これも想定内さ。だから予め、ヒョロスケにこっそり頼んで一ヶ所だけ壊して置いて貰ったのさ。──桐己の晴れ着姿を台無しにしちゃいけないからねぇ〜、HAHAHAHAHA…』
『火捕辺!! こんな大バカ共はほっといて、早く火を消すんだっ!!!』
『…駿河。残念ですが、僕は火を消す事に関しては専門外です───』
『きぃあああああっ!!!! ──じゃ、じゃあ、一体どーするんだ、この火柱は…!!? 正月早々、天津を丸焼けにする気か、お前らっっっ!!!!!?』
───ゴォオオオオオォォ……
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……………………
……………
─────それ以来と言うもの、
天津総滅師協会ロビー天井の一部には
真っ黒に焼け焦げた跡が今現在も尚、
しっかりと残っているのであった……。