異邦人大系 読み切り版

□夕暮れの再会
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ゆっくり目を開くと、鼻先で謎の光の壁が薄れ消えて行く所だった。

「???」

向こうは肩の上の、それこそちっこい白黒生物の頭をプニプニと小突いて(?)いる所だった。

『…プンスカ。お前、それ助かるけど時々、悪い癖だぞ……?』

《プンスー?》

『………いや、良いんだ。悪いのはいつも俺だから…』

ソイツは何処か諦めたように言って、それから祢津也の方を見た。

『ゴメンな、祢津也。怪我…は、してないよな?』

申し訳なさそうに笑ってソイツは再び祢津也の元へと歩み寄って来た。

その姿はまるで、幽霊か何かのように揺らめき、薄れ始めていて──…。

それにソイツも気付いたらしく、自らの手に目を落とすとコチラを向いて苦笑した。

『───もう、限界なのか…。早いな。まだ全然、何にも話…してないのに……』

「………何者なんだよ、アンタ…」

『こんな事なら、来て直ぐに叩き起こせば良かった…。そしたらもっといっぱい、話も出来たのに───』

……見事に話が噛み合っていない。

苛立ちに溜め息を吐いて睨み付ける。

「だからっ…、アンタは一体、何者……」

『…ぷっ、あはははっ───』

相手が大笑いし始めた事に一気に気持ちが萎えた。

『ははは。祢津也だ、やっぱその不機嫌な顔が一番、祢津也らしいや。あははは』

「……お前なぁ、何なんだよ本当に…」

『…ははっ、ゴメン。──でもさ、お前ならきっと気付いてくれるって信じてる。また、逢いに来るよ……こんな風にまた来れたら…だけど。それでも、いつか必ず───…』

寂しげな、名残惜しそうな、そんな笑顔を湛えたまま、ソイツは幻のように……消えた────。





      *

ハッと祢津也は目を覚ます。

いつもと何ら変わらない夕暮れ時の教室──。

「───アレ、優斗だったんだな……」

ポツリと夕暮れの中で祢津也は一人、呟いた────。





#夕暮れの再会…
 
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