異邦人大系 第三部

□やがて鍵へと変わる者
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『───烈将さん、これって…』



優人はそこで一度、
言葉を途切れさせた。





『何ですか…、この大穴は……?』


『…ふぅー。コレはですねぇ、イノセさんの空けた穴でやす』


『え? イノセさんが…?』


『全く。毎回毎回。困ったものでやすよ、あの破壊王には───』



烈将は『よっこらしょ』と
大工道具を何処からか取り出した。





『烈将さん、大工仕事なんてなさるんですか?』


『あの魔王様がご自身でお直しになる訳、まずありやせんからね』


『…でしょうね』


『祟場さんは滅多に時幻党へはいらっしゃりやせんし。女性陣には男としてこんな事、頼めませんしねぇ』


『じゃあ、真木さんは…? 真木さん、何かこうゆうの、お得意そうですけど……』


『……。ミスターは、ですねぇ…』


『?、はい』


『以前、修理をなされた際に、やれオートなんちゃらだ、やれ扉の番人だと修理した扉に要らぬ装飾やら、機能やらをふんだんに盛り込みやしてね。愁水に大目玉を食らったんでやす』


『………、真木さん…らしいですね』


『それからというもの。いつの間にやら、大工仕事は私めの役目になった次第でありやす…』


(──不憫だっ…、不憫過ぎる………)



優人は、非常に烈将が不憫で
居た堪れなくなった───。





『……いいんでやすよ。私め、日曜大工は決して苦ではありやせん…。お陰様で大工仕事の腕も、上がりやした事ですし…』


『──烈将さん! 俺に出来る事があったら、何でも言って下さいっ! 時幻党に居る間は俺、幾らでもお手伝いしますから…!』


『おや、そいつは有り難い。では、そこの板、ちょいと押さえといて頂けやすか?』


『はい! お安い御用ですっ!』


『いやー、助かりやすなぁ〜。思い切って君に打ち明けて正解でやした。丁度、一人くらいこんな助手が欲しいなぁと思ってた所でしたので。あ、優人君。釘を一本…』


『はい、釘ですね!』


『いやぁ〜。本当、助かるなぁ〜…』


…………………
……………
………


 
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