異邦人大系 第三部
□Happy halloween chaos night? (X)
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足に力が入らない──。
「…っ、くっそ!!」
迫り来る狂気へ
足をもつれさせながらも
壁伝いに、辺りの物へと縋り
来た道をひた引き返す。
「ハハハ、そんなに怯えるなよ──」
桔梗は逃げ出した優人へ
全く慌てる様子も見せずに
平然と歩み寄って来る。
「……っ、」
それを肩越しに見やり
恐怖へ身の毛を弥立たせる。
優人は廊下へ逃れようとするが
──その時、突如として
足から力が抜けた。
──ドォッ…
「…??、」
優人はガクンッと膝をつく。
両足が重く、まるで自分のものでは
なくなったかのような感覚と
急激に襲って来た睡魔に
一気に冷や汗が噴き出して来た。
(う、嘘だっ…、だって俺が口にしたのは、ほんの一口にも満たない筈なのに……!!)
「…漸く、効いて来たか? 時間が掛かったなぁ〜。ははっ、何だ? 信じられないって様子だな。お前に飲ませた睡眠薬は、俺の調合した特製の睡眠薬だったんだよ。ぶっちゃけ、あれ全部飲んでたら、致死量だったしなぁ…。まぁ、要は。それくらい強力な薬だったって訳さ。抗うつもりなんだったら、もう諦めな──」
「………っ、」
(キョウ…!)
自由にならない身体を
無理矢理、式神を
憑依させる事により
無我夢中で立ち上がらせる。
「お? まだ、動くか…?」
優人は廊下に面したドアへと
辿り着くなり急いで
部屋の外へ逃れようと
ドアノブに手を伸ばした。
しかし──。