MONOCHROME 〜白と黒の書〜
□〈白〉の書 『彼の唄、温もりに懐古的“熱”を宿して〔壱〕』
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────その昔、蛇(ヒト)使いが
荒いにも程がある“一人の男”に
使役されていた事がある……。
「───ほう？、白い蛇とは。なかなか珍しい」
((…………、捨て置け──。多少の物珍しさ以外、何の利点も無い、只の劣等種だ…。見ての通り、幾ばくとなくして、死を待つのみの身だ………))
「折角、蛇としてこの世へと産まれたのだ。蛇なれば。蛇らしく。執念深く、生き存えてみたいとは思わんか──？」
((───執念。…執念、とは。嗤わせるな。──執念なんぞ以てして程、生き存える価値のある世の中だとでも宣うのか………))
「そうだな。こう見えて私は。お前より遥か長く生き、蛇であるお前よりも遥かに執念深くこの世に身を置いてきた」
((─────分かっているともさ。人外よ…。我らには何一つとして、所縁も無い……。去れ──…))
虚ろに見開いた我の双眸には、初めから
相手の姿や辺りの景色らを
眺め、映し出せる程の視力は
生来から持ち合わせてはいない。
──“死の間際”に“何者か”と言葉を交わした。
それが果たして“言葉”と形容してよいもの
だったのかは。一度、そこで途絶えた
我が思考と相俟って真相は真っ暗な
漆黒の闇の中へと融けた。