電霊‐LOGICAL PARADOX‐ (仮)

□遠い日の記憶
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#000『遠い日の記憶3』






『……異形も、泣くのか』




『…………、』





醜い姿。誰にも受け入れられる事は無く
ただ呼吸し、世界を見つめていた。
この国が戦火にある時も
果てに平和を掲げた時も、
私は、ただ、見つめていた。
孤独と言う言葉を知らない私は
そこに在り続ける事で
生を名乗ろうとしていた。





『死にたくねぇか?』




『……初めてだ。こんなに温かいのは』




『…お前、放っておいたら、あと一時間もしない内に死ぬよ?』




『だとしても、私が人間に仕える事はない…』




『何故?』




『我々と人間の間にあるのは、畏れと、軽蔑だ。相容れぬ……』





私の命は、あっさりと終わった。
彼と出逢ってしまったのが
運の尽きだったのだろう。
数百年もの間。孤独と生に
蝕まれていた私は、その日
確かに殺されたのだ。








―――――――――――…
――――――――――…





時幻党、本部





『まったく。娘の頼みとは言え、無理難題を言いなさるな。異形を人間に書き換えるなんて、禁忌事項だよ、桐己』



『すまない、師匠。氷堂のバカがどうしてもと言って聞かなくて』



『ごめんね、愁水たん。お詫びと言っちゃ難だが、今度、一日奴隷になってあげる』



『お前みたいなオッサンと奴隷ごっこする趣味はない』



『何だと、ババア!! 自分より年下捕まえてオッサンだ!?』



『オッサンだろうが』





騒々しさに、目を覚ます。
視界に映るは、見知らぬ女と
あの男の姿だった。




『………ここは』



『お。やっと起きたか、イケメン』



『…お前は』



『へぇ。異形から人間に書き換えても眼球は赤いままなんだな』



『ああ。魂の具現体を変更しただけだからな。凡そは変わらないよ。それが、そいつの人としての姿って事さ』



『なるほど。人間に生まれてりゃイケメンだったって事だな』



『ここは何処だ? 私は……何故ここにいる?』



『お前は俺に負けたんだ。死んだお前を俺が此処へ連れて来て修復して貰った。つう事で、俺は恩人。で、今日からお前は俺の配下だ』



『ふざけたことを抜かす…私は、誰にも…』



『つうか、んな事より、お前。まず鏡見てみろよ。多分ビックリすんぜ』




『………?』







 
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