異邦人大系 読み切り版
□バレンタインとか超あれな日《読み切り版》
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天津総滅師協会、食堂────。
『──って、事があったの! ねぇ、酷くないですかぁ!?』
『んまぁ、何だ。彼らの気持ちも判らん事もないから、俺からは何も言えんがな───』
『もう、祟場さんまで!』
『ははっ…』
鈴萌はプリプリと
この乙女心をなかなか
理解してくれない男共へ
不満を募らせていた。
それに呆れた様子で
祟場は溜め息混じりに
煙草の煙を吐き出すと
灰皿へ煙草を押し消す。
箱から新たに一本抜くと
それに鈴萌が何かへ
ふと、気が付いた───。
『あれ? それ、祟場さんの……?』
『…ああ、』
煙草へ火を付けようとしていた
祟場がその手を止める。
鈴萌は“それ”を
手に取り暫し眺めた。
パンダのキャラクターの
真新しい小さな吸い殻入れ。
『……昨日、優人から貰ったんだ』
『陣内君から?』
((───先生、コレ。今日、買い物帰りに見つけたんです。貰って下さい))
((何だ?))
──カサッ
((携帯の吸い殻入れ。えへへ。何かそれ、プンスカに似てるでしょ。つい買っちゃったんですけど、俺じゃ使い道ないから先生に上げます))
((全く。お前なぁ…、無駄遣いするんじゃないよ──…))
((先生が使ってくれさえすれば、無駄じゃなくなるでしょう? それに、大人の煙草のポイ捨ては格好悪いですよ。使って下さいね))
((……………))
『…………断れんかった──。(汗)』
『やだぁー。何それ〜。───陣内君から、祟場さんへの“愛の告白”…??』
祟場をからかい大笑いする鈴萌に
祟場の頬へ恥ずかしさからか
微かに赤みが差す。
『あいつ、天然な所あるから。多分、深い意味は無いと思うよ』
『へぇ〜?、ふぅ〜ん??』
『何だ、その目は……。』
『祟場さん。まだ、一回も使ってないじゃん。───どーして?』
『・・・当たり前だ。恥ずかしくて、人前で使えるか。こんな物────、』
『…でも、こうして人前に出してるじゃん?』
『それは…。ついだ、つい───、』
『ふーん?』
『……………、』
『(ニヨニヨ)』
『…………それに──、』
『それに?』
『勿体ないだろ─────』