異邦人大系 読み切り版
□天津国津壊滅事件
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国津、ロビー。
『─────あの、烈将さん…』
『はい、何でやす?』
『………国津って、…こんな所でしたっけ──?』
烈将と優人が国津へ着くと
そこには凄惨な光景が広がっていた。
滅茶苦茶に割れたガラス。ひび割れ
穴ぼこな床に傷だらけの壁。
外れたドアや椅子などが散乱しており、
以前、何処かで見た景色と相俟って
優人は覚えのあるその感覚に
ゴクリと思わず息を飲んだ。
『ははは。何たらハザード、再び、でやすな。いやはや』
『笑い事じゃないですよ!! 一大事じゃないですか!! い、一体、何があったんでしょうか……』
『ふむ。女史の残した言葉の一つに、平沢さんの名前がありやした。取り合えず、手始めに医務室にでも行ってみやしょうか』
『…はい』
国津、医務室前。
『──あっ! 烈将さん、あそこ! 人が倒れてますよ!?』
例外なくドアの吹き飛んだ医務室前にて
そこの医療スタッフらしき人物が
倒れている事へ優人がいち早く気付き、
慌てた様子で駆け寄り抱え起こした。
大丈夫ですか?、何があったんですか?と
優人は倒れた男性スタッフへ呼び掛けるが
応答が無い。しかし、そこへ───。
『──誰かそこに居るのか!?』
『!』
優人は一度、男性スタッフを
ソッと壁へと凭れ掛けさせると、
烈将と共に医務室の中を覗き込んだ。
『───女史、』
『桐己さん!』
『……芝祈っ! 優人も! 来てくれたのか…!』
『ぐあぎゅるるるるっ………』
『き、桐己さん? こ、これは一体……』
『えー、どういった状況でやす…?』
部屋の隅へと追いやられた形で
数名の女性スタッフを庇うように
張られた結界の中から桐己が叫ぶ。
『説明は後だ…! どうか、彼女達を安全な場所へ! コイツらが邪魔をして動けないんだ! 怪我人も居る!』