琉千彩
□第二十四話
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焼けるような日差し
もくもくと綿菓子のような入道雲
アブラゼミの鳴き声
景色が陽炎のように揺れ、暑さを助長する。
リビングではエアコンと扇風機がフル活動。
誰が観ている訳でもないリビングのテレビで、高校球児が汗を流す。
絵に描いた様な夏。真っ盛り。
「・・・甲子園かぁ。青春だね〜」
小娘は庭のビニールプールに浸かったまま、縁に顎を乗せてガラス越しのテレビに視線を流した。
シャクリとガ○ガ○君をかじる。
定番のソーダ味が一番好き。
仰向けになって、眩しい太陽の日差しに目を細めた。
ぬるく温まった水が、たぷんと揺れて眠気を誘う。
溶けかけたアイスが、ぽとりと芝生の上へと滑り落ちた。
意識が朦朧とする。
「・・・小娘。こんな所で寝たら、日に焼けるよ。」
遠のく意識の中で、お兄ちゃんの声が聞えた。
→つづく