琉千彩
□第六話
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ここは―――寺田屋?
みんなは・・・皆はどこにいるの?
廊下を走り、次々と襖を開けていく。
どこ?
ねえ、みんな・・・どこにいるの?
最後の襖を開ける。
そこには横たわる龍馬と慎太郎の身体。
・・・え?!
龍馬さん!!慎ちゃん!!!
その身体を中心に、徐々に黒い液体が水たまりのように円を作る。
・・・うそ
触れると、手は真っ赤に染まった。
・・・血?
龍馬さん!!慎ちゃん!!
龍馬を抱き起す。
龍馬の身体はピクリとも動かない。
い、いやっ!!
今度は慎太郎の身体を揺する。
何度揺すっても反応はない。
なんでっ
なんでっ!!
起きて!!
二人とも起きて!!!
「いやああああああぁっ!!」
はぁっはぁっ・・・
目の前には見慣れた天井。
――― ゆ め ?
わたし・・・夢を見ていたの?
「あ・・・・ああ・・・・」
混乱する頭を抑え、上半身を布団から起こした。
ガクガクと震える体。
あれは、何度目かのタイムスリップの時に見た光景―――。
風邪をひいた龍馬の為に、鶏肉を買って帰った。
その時すでに龍馬と慎太郎は暗殺されていた。
あの時は、特に酷かった。
龍馬は何度も斬りつけられ苦痛の表情のまま・・・
慎太郎は背中をバッサリと斬られ・・・
夥しい血の中で、目を見開いたまま息絶えていた。
きっと、新撰組との一件で小娘はあの事件を思い出してしまったのだろう。
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