琉千彩〜番外編〜

□慎太郎×小娘【寺田屋】
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−−−寺田屋



慎太郎と二人。

世界地図を広げて世界のお勉強中。

慎太郎は地図が大好きで、暇さえあれば地図を眺めている。





「あ、ここはオーストラリアだね。」


「おうすとらりあッスか?!」




慎太郎は目を爛々と輝かせて、小娘の話に聞き入る。




「うん。ここには日本にいない動物がいてね。
 
 ・・・カンガルーとか。
 
 ぴょんぴょん跳ねるの。
 
 お腹に袋が付いてて
   
 かわいいんだよ。」



慎太郎は更に目を輝かせて小娘を見つめる。


「姉さん!凄いっす!!姉さんは何でも知ってるんですね!!!」

「あはは。何でも知ってるってわけじゃないけど・・・」




「あ!姉さん!この国は何ていう国なんスか?」


小娘は、どれ?と畳の上に広げられた地図を覗き込む。


「ここです。この小さな島・・・。」



お互いの頭が自然と近づく。


―――ふと、慎太郎の鼻を甘い香りがかすめる。


「ん?・・・なんか、においが・・・・」


小娘はそれに、ぴくんと反応し、慎太郎に顔を向ける・・・


「え?わ、私、臭いかな・・・」


サラッとお互いの前髪が触れた。


気が付くと鼻と鼻がくっついてしまうほど・・・

慎太郎の顔が目の前にあった。




「・・・あ」



動くとぶつかってしまいそうな距離。



慎太郎は、間近にある、小娘の顔に見入ってしまう。




大きな黒目がちな瞳。

くるんと長いまつげ。

陶器の様に一色の曇りもなく、

艶やかな肌。

そして、すらっと伸びる鼻筋。

花びらのような、薄く桃色の小さな唇。




「・・・しん、ちゃん?」






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