琉千彩〜番外編〜
□以蔵×小娘【寺田屋】
1ページ/9ページ
寺田屋の皆はお出かけが多い。
だけど私が不自由しないように
必ず誰かが一人残ってくれる。
今日は以蔵が寺田屋に残ってくれている。
以蔵は、いつも縁側に座っているだけ。
本人は、先生からお前の面倒を見るように言い使っているから、仕方なくここにいるのだと言っているけど・・・・
私は、本当は以蔵がとても優しいことを知っている。
「い・ぞ・う♪ 遊ぼ〜♪」
小娘は以蔵の背後にこっそりと回り込み、後ろから抱きつこうとする。
「ばっ!馬鹿女!!何を考えてる!!」
しかし、以蔵が小娘の気配に気づかないハズもなく・・・
さっと身をかわされてしまう。
「ちっ!!なぜ俺がこんな馬鹿女の相手をしなければならないんだ!!」
以蔵の言葉に、むぅっとむくれる小娘。
小娘は以蔵にいたずらをして、以蔵に怒られる。
そんな風にしていつも過ごしていたんだけど・・・
今回は、ちょっと違う。
「いいこと思いついた〜♪」
「なっ!お前の思いつきなどロクなことがない!!却下だ!」
小娘はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「以蔵!剣道で勝負しよう!!」
この以蔵は、小娘が剣をたしなむことを知らない。
小娘には、勝算があった。
何度も時空を越えて
その先々で以蔵・武市・慎太郎・晋作・桂にと幾度となく剣を教わっていた。
以蔵には過去に一度も勝ったことがなかったが・・・
小娘には勝つ自身があったのだ。
以蔵の踏込の速さ、間合いの取り方
小娘はある程度把握している。
今、目の前にいる以蔵は、小娘の腕を知らない。
故に油断しているに違いない。
・・・それに、小娘には秘策があった。
以蔵をひるませるための秘策が。
ひるんだ瞬間を狙えば、勝算はあると思ったのだ。
→続き