琉千彩〜番外編〜

□以蔵×小娘【寺田屋】
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寺田屋の皆はお出かけが多い。

だけど私が不自由しないように

必ず誰かが一人残ってくれる。

今日は以蔵が寺田屋に残ってくれている。




以蔵は、いつも縁側に座っているだけ。

本人は、先生からお前の面倒を見るように言い使っているから、仕方なくここにいるのだと言っているけど・・・・

私は、本当は以蔵がとても優しいことを知っている。



「い・ぞ・う♪ 遊ぼ〜♪」



小娘は以蔵の背後にこっそりと回り込み、後ろから抱きつこうとする。

「ばっ!馬鹿女!!何を考えてる!!」

しかし、以蔵が小娘の気配に気づかないハズもなく・・・

さっと身をかわされてしまう。

「ちっ!!なぜ俺がこんな馬鹿女の相手をしなければならないんだ!!」

以蔵の言葉に、むぅっとむくれる小娘。



小娘は以蔵にいたずらをして、以蔵に怒られる。

そんな風にしていつも過ごしていたんだけど・・・



今回は、ちょっと違う。



「いいこと思いついた〜♪」

「なっ!お前の思いつきなどロクなことがない!!却下だ!」

小娘はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。



「以蔵!剣道で勝負しよう!!」



この以蔵は、小娘が剣をたしなむことを知らない。

小娘には、勝算があった。

何度も時空を越えて

その先々で以蔵・武市・慎太郎・晋作・桂にと幾度となく剣を教わっていた。

以蔵には過去に一度も勝ったことがなかったが・・・

小娘には勝つ自身があったのだ。

以蔵の踏込の速さ、間合いの取り方

小娘はある程度把握している。

今、目の前にいる以蔵は、小娘の腕を知らない。

故に油断しているに違いない。


・・・それに、小娘には秘策があった。

以蔵をひるませるための秘策が。

ひるんだ瞬間を狙えば、勝算はあると思ったのだ。



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