琉千彩〜番外編〜

□武市×小娘
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武市さんと二人で過ごす時は

この時代の文字の勉強をすることになってしまったんだよね・・・。


そんな事になってしまったキッカケは・・・



―――自室で日記を書いている時だった。



「何を書いているんだい?」

「うひゃう!!」

突然、後ろから声をかけられ

驚きすぎて変な声を出してしまう。

「たっ武市さん!!

突然声をかけないでください!!」

小娘は慌てて日記帳を隠す。

その行動に眉をひそめる武市。


「日記です!・・・だから・・・
恥ずかしいから見ないでください!!!」

武市は驚いたように目を丸くする。



「君は・・・読み書きができるのかい?」

「・・・?・・・えぇ。まあ普通には。」




そうか・・・

この時代では

女性が読み書きができる方が

珍しいんだったっけ・・・。


「・・・そうか、そうか・・・」


ブツブツと呟きながら

武市は、その場を去ってしまった。




武市は、幾度となく気配を消して

小娘に近づいてくる。

小娘の驚く顔を見るために

ワザとやっている事なのだが・・・

小娘はその真意を知らない。




「ふう・・・。」


危ない危ない。

武市さんって神出鬼没だから・・・

気をつけなくっちゃ・・・


小娘は武市が立ち去ったのを見届けて

こっそりと懐から歴史書を取り出した。


今回の歴史を確認しよう・・・

ぱらぱらと歴史書をめくり始める。

・・・とその時―――


「随分と、この時代の文字とは形が違うようだね。
何が書いてあるのかさっぱりわからない・・・」


またも背後からの声。


「ひぃやああ!」

振り返るとそこには

背後から歴史書を覗き込んでいる武市の姿。



心臓が飛び出るほど驚いて

歴史書を落としてしまう。

わたわたと歴史書を拾い

慌てて懐にしまい込む。



「っっ!!た、武市さん!!!
いきなり声をかけないでください!!
なんでいきなり後ろにいるんですか!!
気配を消して近づかないでって
いつも言ってるでしょう?!」

顔を真っ赤にして怒る小娘

そんなのはお構いなしに

武市はブツブツと何かを言っている。




→続く
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