小娘ちゃんと七人の侍

□第三話
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「そしたら、野菜をいれてね。んで火を付けるの」



冒頭からいきなり彼女に命令されている彼は、桂小五郎である。

後に木戸孝允、維新の三傑と称せられる歴史上有名な長州藩士。

そして、その桂小五郎に命令しているのは小娘。

ぴっちぴちの現役女子高生だ。


何故、彼女が幕末で、しかも歴史上超有名な桂小五郎と共に炊事場にいるのかって話だが。


もう三話目ですからね、サクッと説明しましょう。

神の悪戯でしょうかね、本人の意志なんてもんじゃなく、勝手にタイムスリップしちゃった訳ですよ。

んでもって、そりゃぁもう、一言では言い表せないほどいろいろありまして。

只今、京都の長州藩邸でお世話になってるっつー話ですわ。

更に彼女が桂に火を付けさせている理由。

それも説明した方がいいっすかね。

単純に自分で竈に火なんてつけられないっつー理由です。はい。


「晋作が我が儘を言ってすまないね。」


本家様をプレイされている方には説明不要の話の流れですけどね。

今日は彼女が朝食を作ることとなった訳です。

突然の高杉の我が儘に、「うんいいよ。お世話になるんだし。」とサラリと了承した小娘。

そしてそれを手伝う事となったのが桂晋作。

失礼。桂小五郎。

どうやら寝不足が祟っているようですが、話を進めますよ!


「おい!俺の嫁と朝っぱらから何をしているんだ!」

やっと見つけたと言わんばかりの顔で、炊事場に降りる。

勿論、現れたのは高杉晋作。

なんだかんだと彼女の元へとやってくる。

彼もまた、ここ長州藩の藩士だ。


とにかく彼女を気に入り、嫁だ嫁だと騒ぎ立てる。

愛くるしい彼女の容姿に加え、その可愛らしい口は、開けば予想以上の反応が返ってくる。

服装も持ち物も、全てが目新しい物ばかりだ。

当初はその好奇心からの興味だったが、今となっては、そんな物は補足要因にすぎない。

まあ、詳しい事は二話をご覧ください。


「何か用?てか朝ごはん作れって言ったのは高杉さんでしょう?」

そんな彼に、あっさり過ぎる態度を取るのは彼女の本質的なものだろうか。

「旦那に向かってそれはないだろう」

「旦那じゃないし」

即答で答えるのも彼女らしい。

まぁ、そんなやり取りも今に始まった事ではない。

「桂さん、ご飯はどうやって炊くの?」

「あっ!!おいっ!!まだ話は終わってないぞっ!!」

相変わらず騒がしい高杉。

彼に付き合っていたら、時間がいくらあっても足りない。

無言で彼の手を引いて、炊事場の外へと追いやる。

そして無情にも炊事場の戸をぴしゃりと閉めた。

「お、おい!追い出す事はないだろう?!」

外で騒ぐ高杉に、ほんの少し戸を開けて言い放った。

「ねえ。ご飯抜きがいい?」

「なっ・・・」

にんまりと彼女の極上の笑みを向けられて、言葉を失ったのは高杉。

再びぴしゃりと戸を閉められて、暫らくうろうろとしていた高杉だが。

大人しく部屋へと戻って行ったのは説明するまでもない話。





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