琉千彩
□第一話
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アスファルトの上を行きかう車の排気ガスの臭い。
懐かしさを感じながらも、ここは戻って来る場所ではないと思ってしまう。
重たい体をトランクに預けるように、それでも私は先へと進んだ。
向かう先は、神社から5分程度の場所にあるアパート。
小娘は19歳になった。
昨年、京都の医大に合格し、今は京都で一人暮らしをしている。
京都の医大はレベルが高かったけれど。
どうしてもあの神社のすぐそばに住む必要があった。
・・・それに
どんなに言っても、何度言っても
彼らはすぐ無茶な事するし・・・
簡単に命をかけようとするから・・・
少しでも彼らの役に立ちたいと、医療の勉強を始めた。
元々、勉強は苦手な方じゃなかったし、彼らの事を考えると、受験勉強もそんなに苦ではなかった。
すぐに彼らの元へと行けない方が、小娘にとっては辛かったから。
何度も時空を越えて分かった。
彼らを助けるために、知識が必要だと。
だから
何回目からだったかは忘れたけれど
すぐには過去へ飛ばないで
記憶の整理をして
知識を詰め込んで・・・
たくさんの荷物をもって
彼らの元へと戻って行った。
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