CCFFVII
□貴方は空
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『もしもーし って』
『分かった 会いに行く』
『お客さんを待たせてるんだ』
『エアリス』
『出来たら デート一回な』
溢れだした涙の数と同じくらいの数の貴方との想い出を私は強く強く噛みしめた
「毎日飽きないんだね」
ふと教会のドアの方に語り掛ける。すると古びた音をたてながらドアが開く。ドアの向こうには真っ黒な髪を1つに束ねスーツ姿のツォン。
私のことを、監視している
「最優先任務だからな。私だって好き好んでやっているわけではない」
「あら、失礼」
ザックスがニブルヘイムに行ったのは3日前の事。けれどとても昔のように感じた。いつもは隣にザックスがいて二人で話して、また明日ねってそれだけですごく幸せなのに。彼がいない、その事だけが私を悲しませる
「そうだ、ツォン。貴方、確かザックスと同じ…神羅?」
「正確に言えば部署は違うが。会社自体は同じだ」
「分かってる。ザックス、ソルジャー。貴方、タークス。ねぇ、お願い。私の手紙ザックスに届けて!」
ツォンは少し困った顔をしたけれど私はそれを押し切った。だってそのくらいは許されないとね。私を監視しているのだから。
「…仕方ない」
「ありがとう、ツォン!」
手紙にはその日あったことを、ザックスに早く会いたいということを、それからそれから…たくさんたくさん書いた。
ツォンに1通目を渡して数日後、ツォンが戻ってきた。
「あ、おかえり!どうだった?」
「…すまない」
「どういう…こと?」
ツォンはとても辛そうな顔で内ポケットから手紙を取り出した。返事を貰ってきてくれたのかと思ったけれど違う。私が出した手紙だ。
「ザックスは任務が長引いていて少し危険なところに居る。私達はそこへ入れないから手紙を届けることができない」
「大丈夫なの?」
「…それしか聞かされていない」
ツォンは嘘をつく人ではないから。それだけは信用している。だから私は手紙を書き続けた。
ある日、ザックスが作ってくれた花売りのワゴンが壊れた
「よぉ」
「あ、カンセル」
カンセルはザックスの友達。とっても仲良しなんだってザックスも言ってた。
「壊れたのか?」
「うん、少し」
「直してやろうか?」
「ううん、ザックスに直してもらうから いいよ」
これは、ザックスと私の大事なものだから。たとえザックスの友達と言えどこれは渡せない。子供じみた独占欲だけどこれもザックスと私を繋いでる大切なものだから
カンセルはたまに話し相手になりに来てくれた。ツォンはずっと私を監視していた。でもツォンとも少し話すようになった。元々彼は悪い人ではないから。