ストーカーは恋をする
□ストーカーは出会う
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憂鬱な雨雲が空を覆い尽くす今日この頃。
敦子は今日も学校へ向かう。
入学して早二ヶ月経つ今も敦子は一人だった。
−カッシャン−
自転車を駐車場に止め教室へ向かう敦子に
呼び掛ける者などいない。
(一日って長いなぁー…)
心の中でぼやいてもそれを聞いてくれる友達はいない。
「はぁー…」
その代わりに出てくる溜め息は憂鬱さに拍車を掛けた。
−キーンコーン、カーンコーン−
始業のチャイムが鳴り、皆が足早に教室へ入ってくる様を
誰よりも先に教室にいた敦子は見ずとも
鼓膜に響く騒音で感じていた。
「講義はじめまーす」
生徒に遅れて入ってきた講師が講義を始める。
講義が始まれば寝る者はもちろん
ヒソヒソと雑談をする者も出てくる。
それでも敦子は真面目に講義を受ける。
それが学校に来る唯一の理由だったからだ。