ストーカーは恋をする

□ストーカーの決意
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あの日から数日が過ぎた頃、
敦子は放課後、学内の受付にいた。

「あの…尋ねたいことがあるんですけど…。」

そう言った敦子は高橋みなみの専攻している学科を尋ねていた。
あれから高橋を見かけることが
なかった敦子は強行手段に出たのだ。

「あ…そうですか。ありがとうございます。」

一礼して受付を後にする敦子。
手には高橋の学科がメモのように書かれていた。

「芸術科か…。」

敦子が通う大学は4つの学科に分かれていた。
それによって校舎、教室も違うのだ。

「私と真逆だ…。」

校舎も学科と一緒で4つに分けられていて、
普通科、経営学科、芸術科、国際科。
これらの校舎は対向するように
北には普通科と経営学科、
南には芸術家と国際科がある。
その校舎の間にグランドや広場が広がり、
東側に食堂など学科問わず使用される
施設等が設けられていた。

「どうしよう…これじゃ会えないよね…。」

溜め息を吐きながら俯く敦子は
あることを思い出した。

「じゃあ何でこの前あんな所で会ったのかな…?」

数日前に高橋とぶつかった敦子。
確かにあの時、高橋は普通科の校舎から走って来ていた。
殆どの生徒は専攻した以外の校舎に出入りすることは少ない。
まして反対側の校舎を行き来する生徒は数が少なかった。

「…でも芸術科じゃあ接点ないし…
やっぱり会える確率は少ないか…。」

一つの疑問が浮かんだものの
所詮学科が違えば会えないのは明確。
たまに行われる学科混合講義もあるが
それは年に数回程度。
今の敦子はそれに我慢できないでいた。

「もっと…一緒にいたいのに…。」

敦子は少しの間、考えてからある事を決意した。




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