其の弐
□俺と十四郎と昔の約束
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生まれたころから一緒で。
「銀時ぃぃぃい!!」
「げっ十四郎だ」
幼いころから喧嘩ばっかりだった。
それは今でも変わらない。
「お前な!勝手に俺の教科書使うなよ!!社会の教科書なくて大変だったんだからな!!」
「いやぁ…返すのわすれてたわ…ほいあんがとさん」
「あんがとさんじゃねぇぇわ!!!!」
「殴るなよ!!」
こんな会話は日常茶飯事。
でも、少し違うのは…クラスが離れたのと、十四郎に彼女が出来た事。
小学生の6年間はクラス替えをしても離れる事は無かったのに…中学入学して始めて離れた、俺は12HR十四郎は14HR。
そこで同じクラスになった沖田ミツバだかという女子と半月前から付き合いだしたみたいだ。
「悪かった悪かった!」
「本当いい加減にしろよな!」
「ほーい……あっなぁ今日一緒にかえれんだろ?約束したし」
「あっ……わりぃ…部活が、ほら大会近いし」
「………そ…だよな」
嘘だ。
十四郎は嘘が下手だ、いつも嘘つくとき手で口元を隠す。
小さい頃からの癖。
十四郎の親以外には俺しか知らない、十四郎の彼女だって知らない癖。
「じゃ先帰るな」
「あぁ…わりぃな」
「今日も夕飯うちだろ?部活終わったらちゃんと連絡しろよ?」
「あっ…あぁ」
家は隣、十四郎の部屋と俺の部屋は窓を開ければすぐそこで60センチぐらいしか離れていないので飛び越えられる。
昔そのせいで俺がエロ本を読んでいるのをバレて一週間口をきいてもらえなかった時もあった。
「銀時ぃ十四郎君が来るまでに風呂はいんなさい」
「わかったよ!」
十四郎の親は仕事が忙しくほとんどいない、そのため夕飯は一緒。
「十四郎……デートかな……デートだよな」
風呂に潜り込む。
考えたくなかった、十四郎とあの女が一緒にいる事を、楽しそうにしてる事を。
なんで、こんな気持ちになるんだろう。
胸が痛い。
胸が苦しい。
辛くて泣きたくなる。
女々しい……。
この気持ちはなんなのか…分からない。