任侠ヘルパー

□任侠ヘルパー
3ページ/9ページ


それから彦一さん達の研修が始まった。


彦一さん達の仕事ぶりは最悪だ。



晴菜「お散歩行きますよ。」


「あら、お散歩ですか?」


晴菜「はい、今日は公園に!」


「天気もいいし、公園気持ちいいかもしれないですね。


美空さん、手伝うわ。」


晴菜「ありがとうございます!


……すいません、突っ立ってないで手伝ってください。」


彦一「なぁ、こいつらみんなボケてんのか?」


「……、」


晴菜「ボケって言わないでください。」


彦一「痴ほう症だっけ?」


晴菜「今は認知症って言います。」


彦一「意味は同じだ。」


「……ちょっと待っててね。」



私は彦一さんを少し離れた場所に連れてきた。



「そういう言い方やめてもらえませんか。


認知症の方は特に馬鹿にされたりとかそういうの敏感ですから。」


彦一「馬鹿にされても仕方ねぇだろ。


歳くって人の世話んなんなきゃ生きていけねぇような連中。」


「誰だって歳はとるんです。


……あなただって。」


彦一「おい。」


「何ですか。」


彦一「俺はな、その前にくたばってみせるよ。」


「………」



すると、彦一さんの背中にお年寄りがおしっこをかけた。



彦一「てめぇ!」


「ちょっと彦一さん!」


彦一「止めんじゃねぇよ!」


「………」


彦一「くそじじぃ!」


「………」



私は、コップに入れてきた水を彦一さんにぶっかけた。



彦一「……?!」


りこ「……!」


「いい加減にして!」


『……!』


「あなたヘルパーでしょこれくらいのことでいちいち騒がないで!


利用者さん達に迷惑です。」


『………』


「……部屋にお連れして。


他の利用者さん達はそのままで。」


『はい!』


「みなさん驚かせてごめんね、もう大丈夫だからね。」



彦一「………」


りこ「………」


「……刺青、見られたくなければもっと上手く隠してください。


面倒は御免なんで。」



それだけ言って私は仕事に戻った。


これからの生活、憂鬱になるな。







次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ