任侠ヘルパー
□任侠ヘルパー
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‐タイヨウ‐
タイヨウにハートフルバードの羽鳥晶達がきて、利用者さん達にオムツを履かせることになった。
彦一さん以外のみんなは利用者さん達にオムツを履かせようと説得を頑張っている。
私はどうしてもやる気が起きなくて休憩室にくると、みんなと羽鳥顧問の息子である涼太くんがいた。
涼太くんは、彦一さんに弟子にしてほしいと言っている。
五郎「弟子?!」
二本橋「こんな小さな子供がね……」
りこ「まさか見られてたとはな。」
六車「しかも、あの羽鳥っていう新しくきた顧問の息子だ。」
二本橋「マズいですよこれ。」
りこ「頭に念押されたばっかなのに。」
六車「どう責任取るつもりだ。」
五郎任「せてください兄貴!
おいガキ、てめぇもし誰かに喋ったら、!」
りこ「ガキに何やってんだお前は。」
五郎「何しやがんだてめ!」
二本橋「まぁまぁまぁ!」
三樹矢「つかさ、何で極道なんかに弟子入りしたいわけ?」
涼太「……強くなりたいから。」
彦一「あぁ?」
「強く?」
涼太「昭和山峡伝シリーズも、非牡丹博徒シリーズも全部見たんだ。
困っていたり苦しんでいたりする人を助けるために自分の命をかけて闘うんだよ。」
六車「映画と現実は違う。」
三樹矢「そうそう。
大体俺らあんなつまんない映画見ないもんねぇ、りこちゃん♪」
りこ「私全部持ってんだけど。」
三樹矢「えっ……」
「ねぇ涼太くん、どうしてそんなに強くなりたいの?」
涼太「え?」
「強くなって何をしたいの?」
涼太「困っていたり苦しんでいたりする人を助ける……」
「じゃあ、涼太くんはほんとに極道が強いって思ってる?」
涼太「うん。」
「涼太くん、ほんとの強さはね、自分の心だよ?」
涼太「心?」
「喧嘩が強いからとか、極道だからほんとに強いってわけじゃないの。
ほんとに強い人は、心が強い人なの。
私は、極道が強いなんて思わない。
極道の人間のほうが、実は弱いものよ。」
涼太「……兄貴、」
彦一「俺はな、お前に付き合ってるほど暇じゃねーんだよ。」
涼太「えー兄貴、」
次の瞬間、休憩室のドアが開いた。
『……!』
「和泉さん……」
和泉「何やってんだお前ら、業務中だぞ。」
五郎「別に何でもねぇよ。」
三樹矢「いやほら、顧問のお子さんだし。」
二本橋「菓子をやろうと思いましてね。」
涼太「お願いします、弟子に、」
『わー!』
弟子にしてほしいという涼太くんの言葉を必死に遮るりこさん達。
和泉「忙しいんだから、早く戻れ。
高宮さん、手伝ってほしいことがあるからいい?」
「えぇ、今行きます。」
和泉「じゃあ、待ってるから。」
そう言って休憩室から出て行った和泉さんに、みんなは胸を撫で下ろした。
三樹矢「あっぶねぇ……」
五郎「どうすんすか兄貴。」
「私は仕事に戻ります。」
三樹矢「えー、仕事戻っちゃうの?」
「業務中だから。
涼太くん、ほんとに極道なんかの弟子になっていいのかよく考えて。」
涼太くんにそれだけ言って私も休憩室を出た。
‐事務室‐
事務室にくると、和泉さんがいた。
「和泉さん、すいません遅くなりました。」
和泉「高宮さん。」
「手伝ってほしいことって?」
和泉「あぁ、この書類の整理を手伝ってほしくて。」
「分かりました。」
和泉「……高宮さんってさ、あいつらと仲良いよね。」
「あいつら?
あぁ、研修メンバーですか?」
和泉「まぁ。」
「あー、三樹矢は幼なじみだし、他の人達は義父の会社の社員でもあるので一応。
仲がいいってほどじゃないですけど。
それが、どうかしました?」
和泉「……あ、いや、何でもない。
さ、やっちゃおう。」
「あ、はい。」
和泉さん……?
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