任侠ヘルパー

□任侠ヘルパー
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‐夜(宿舎)‐


「私今日からほんとにここに……」


三樹矢「うん♪」


「はぁ……


とりあえず、皆さんの監視役として今日からここに住みますのでよろしくお願いします。」


二本橋「お願いします。」


「あ、はい。」


二本橋「中々上手く行きませんねぇ。」


五郎「あの野郎、許せねえ。」


三樹矢「勝手に金借りたりするからっすよ。


ねぇりこちゃん。」


りこ「うるせぇ、ムカつくんだよあのじじい。」


六車「ふっ。」


五郎「つーかさ、あんた何で参加しねぇんだよ。」


六車「普通に仕事してたほうが評価は上がる。


あぁいう相手と関わるともめて正体がバレる危険があるからね。」


五郎「ふっ、出たよ、大学出のボンボンの考え方。」


二本橋「そういえば六車さん、結構な学歴お持ちなんですよね?


それが何で極道に?」


六車「簡単に出世できそうだと思ってね。」


三樹矢「旨そうじゃん。


あー、りこちゃんの手料理食えるなんて幸せー♪」


りこ「当番だからやってんだよ。


黙って手伝え。」


三樹矢「はいはい。


でもさ、料理作れるなんてポイント高いよね。


いいお嫁さんになれそうだし。」


「……、」


りこ「うるせぇな。」


三樹矢「大体さ、幹部目指す必要なんかなくね?


女なんだから別に極道続けなくても、」



次の瞬間、りこさんが三樹矢の手を掴み、置いてあったキャベツに包丁を刺した。



りこ「もう一回言ってみろ。


女だから何だって?」



キャベツに刺してある包丁が段々と三樹矢の手のほうに下がっていく。



三樹矢「ちよっ……」


二本橋「りこさん。」


五郎「おいやめとけって。」


りこ「なめた口聞いてんじゃねぇぞ。」



そう言って部屋に入ってしまったりこさん。


三樹矢は腰を抜かしてその場に崩れ落ちた。



「あぁいう言葉、女の人には言っちゃ駄目だよ、三樹矢。


女だからとか、そういうの一番言われたくないから。」


三樹矢「………」


「………」
































‐りこの部屋‐


私は、りこさんの部屋にきた。



「りこさん、明日香です。」



りこさんは意外にもあっさりドアを開けてくれた。



りこ「あんたか。


……どうしたんだよ?」



「りこさん、夕飯食べてなかったのでお持ちしました。


少しでも食べたほうがいいと思ったので。」


りこ「わりぃな。」


「いえっ。」


りこ「入るか?」


「いいんですか?」


りこ「あぁ。」


「じゃあ、お邪魔します。」



りこさんの部屋に入った私は、りこさんと向き合った。



「あの、りこさん、さっきは三樹矢が失礼なこと言ってすいませんでした。」


りこ「何であんたが謝んだよ?」


「何でって、監視役、だから?」


りこ「ふっ、そうか。」


「女だからとか、言われるの嫌ですよね。」


りこ「………」


「私、男も女も関係ないって思ってます。」


りこ「え?」


「女だから極道駄目とか男だから極道とか、そんなの関係ないと思います。


女だからこれしろ、男だからあれしろ、とか嫌なんですよね。


方向性とか、行き着く先は人それぞれ違うんだし。


それが例えば私とりこさんだったら私がヘルパーで、りこさんが極道だったってだけで。」


りこ「………」


「だから大丈夫ですよ、りこさん。」


りこ「明日香……」


「何かりこさんに名前呼ばれると嬉しい。」


りこ「何だそれ(笑)」


「えへへ、(笑)


じゃあ、私そろそろ部屋戻りますね。」



そう言って立ち上がったが、目眩がしてその場に崩れ落ちてしまった。



「……、」


りこ「おい、大丈夫かよ?!」


「大丈夫、です……」


りこ「明日香、」


「最近、ずっと食欲なくて……


疲れてんのかぁ、あはは……」


りこ「笑ってる場合かよ。


あいつには言ったのか?」


「………」


りこ「待ってろ呼んでくる。」


「言わないで!」


りこ「え、」


「三樹矢だけには言わないでください!」


りこ「でも、」


「あいつには、今は研修頑張ってほしいんです。


余計な心配かけさせたくないんです。


だから三樹矢には言わないでくださいお願いしますっ!」


りこ「………」


「お願いします、りこさんっ……」


りこ「……分かった、言わねぇよ。」


「りこさん……」


りこ「その代わり、無理はぜってぇするな。


じゃなきゃ、あいつに言うからな。」


「分かった。


ありがとう、りこさん……」



そこで、私の意識は途切れた。


りこさん……






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