任侠ヘルパー

□任侠ヘルパー
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‐夜(宿舎)‐


五郎「村井のばあさんしつけぇだろ。


見合い相手探してやるって。」


三樹矢「俺にもですよ。


若いうちから所帯持てって何回も。」


二本橋「自分の口利きで100組近く結婚させたってのが自慢だそうです。


いい相手探してやるからって、あっしも言われました。」


五郎「あんた独身かよ?」


二本橋「バツイチです。


もう随分会ってませんけど娘もいるんですよ。」


三樹矢「つーかここの生活にも慣れてきましたよね。


案外上手くやってけてるっていうか。」


六車「能天気だな。


この研修の目的は?」


五郎「誰が幹部になるか決めるためだろ。」


二本橋「介護学んで、しのぎに役立てるためじゃないすか?」


六車「こんな研修でどうやって幹部を決めるんです?


決まったノルマがあるわけでもないのに、選ぶ基準は?」


五郎「そりゃお前、」


六車「しのぎに利用するとしても、ハートフルバードくらい大規模じゃなきゃ。


まともにやってたら介護は金になりません。」


二本橋「そりゃあそうでしょうけど……」


りこ「だったら何が目的でこんなことさせられてんだよ?」


六車「さぁ?


いずれにしても頭の言葉は鵜呑みにしてないですよ僕は。


与えられた仕事はこなすけど。


だから真剣に悩む必要ないでしょう。


所詮、エセヘルパーなんだから。」


彦一「うるせぇな。


てめぇが喋ると飯が不味くなる、黙ってろ。」


六車「ふっ。」


りこ「………」


「……介護は、そんなに簡単なものじゃない。」


六車「え?」


「真剣に悩む姿勢を見せてくれるなら私は、それが嬉しい。


幹部になることだけにやるのが研修ではないと、私は思ってますから。」


六車「あなたみたいに介護一筋で生きてる人間とは違うんですよ。」


「私は、介護に向き合おうとしてくれてる人の気持ちを大切にしたい。


人は、向き合わなきゃ分からないから。」


『………』







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